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自閉症児が自分から行動の完了を報告する〜ABAの言行一致訓練〜

自閉症児へ家庭療育を行う時に

  • 手を洗い、終わったことを伝える。
  • 玩具を片付けたことを知らせる。
  • 決めた宿題を終えて報告する。
  • 持ち物の準備ができたことを伝える。

等を教えることがあります。

子供が活動を終えても
親が「終わった?」と聞くまで
何も伝えてこないことがあります。

また「終わった」と言っていても
確認すると、まだ途中だった
という場合もあります。

行動分析学事典の556ページでは
自分の言葉と、それに対応する行動との
一致を教える手続きを
言行一致訓練と説明しています。

先に何をするかを言い
その通りに行動する方法と
行動した後に、実際にしたことを
報告する方法があります。

今回は、後から報告する方法を扱います。

以前の自己評価では
自分の行動の結果を基準と比べ
できたかを判断することを扱いました。

今回は、それに加えて
実際にしたことを親へ正しく伝え
親に聞かれる前に報告すること
を目指します。

1.どこまで終えたら報告するかを決める

まずは子供が一人でできる
短い活動から始めます。

例えば、食後にコップを
台所へ運ぶ場面です。

コップを持つだけでなく
台所の決めた場所へ置くところまでを
活動の終わりにします。

始める前に
「コップを台所へ運んだら
『運んだよ』と教えてね」
と伝えます。

報告する言葉は短くて構いません。
話すことがまだ苦手な子は
「できた」や「はい」等の
発音できる言葉で構いません。

最初から詳しい説明を求めず
何が終わったのか
を伝えられるようにします。

宿題なら、今日取り組む範囲を
先に示しておきます。

2.活動を終えたら自分から報告する

家庭で大切にしたいのは
親に聞かれた時に答えるだけでなく
活動が終わったことをきっかけに
子供が自分から報告することです。

自分から知らせられると
親が何度も「終わった?」と聞かずに
子供が活動を終了させられます。

練習では、次の流れを作ります。

  1. 子供が決めた活動を終える。
  2. 子供が自分から親へ報告する。
  3. 親が実際に終わっているか確認する。
  4. 活動を終えて報告できたことを褒める。
  5. 子供が好きな活動をする。

コップを運んだという報告なら
親は決めた場所に置かれているかを
確認します。

その上で「運べたね。」と応じます。

報告と確認が終わった後は

  • 寝転んでゆっくりする。
  • 好きな本を読む。
  • おもちゃで遊ぶ。

等、子供が好きな活動へ移ります。

親は報告を受けたら速やかに確認し
決めていた活動へ移れるようにします。

褒めたり、好きな活動ができたりした後に
活動を終えて自分から
正しく報告することが増えているかを
確認します(強化)。

3.報告を促す声掛けを減らす

最初から自分で報告できない場合は
報告の仕方も教えます。

活動が終わっても報告しない時は
「何て言うの?」と促します。

言い方が分からない場合は音声模倣で
「コップを運んだ」と教えます。

この声掛けや見本は報告を助ける
プロンプトです。

ただし、毎回親が「終わった?」と
聞いてから答えさせているだけでは
自分から報告したかを確かめられません。

報告の仕方が分かってきたら
活動後すぐに声を掛けず
子供が報告する機会を作ります。

必要な時には手助けをしながら
促さなくても報告できる機会が
増えているかを見ます。

4.ゆっくり進める子供には制限時間を設定する

動作そのものはできても
活動をゆっくり進めてしまう子供には
制限時間を設定する方法も使います。

この場合の目標は
時間内に活動を終えることに加えて
報告まで済ませることです。

例えば、取り組む範囲を示して
「タイマーが鳴るまでに片付けて終わったことを教えてね」
と伝えます。

時計が分かる子供には終了時刻を示し
難しい場合は残り時間が見える
ビジュアルタイマー等を使います。

制限時間は一律に決めず
普段の活動と報告にかかる時間を見て
達成できる長さから始めます。

測る範囲は、準備を整えて
開始の合図を出してから
子供が報告し終えるまでです。

時間内に終わって報告できたら
そのことも具体的に褒めます。

間に合わなかった時には

  • 活動を始めるまでに時間がかかった。
  • 途中の動作に時間がかかった。
  • 活動は終わったが、報告せずにいた。

のどこに時間がかかったかを分けます。

動作自体が難しいなら
その部分を教えたり課題の量を減らしたり
してから取り組み直します。

単純に子供がぼーっとしてしまい
時間内に終わらなかった場合は
再度時間内に終わるまで練習します。

実践例

畳んであるタオルを
引き出しへしまう場面です。

子供は、タオルを入れる場所が分かり
引き出しの開け閉めと
タオルをしまうことは
既に一人でできます。

今回の活動はタオルをしまい
引き出しを閉めるところまでです。

  1. タオルを、子供が取れる位置に置く。
  2. 終わって報告し、親の確認が済んだら何をしたいか選んでもらう。今回は好きな絵本を読むことにする。
  3. 「タオルをしまって、引き出しを閉めたら『しまったよ』と教えてね」と伝える。
  4. 制限時間を使う場合は、普段の記録から決めた時間をタイマーに設定し、「鳴るまでにしまって、教えてね」と伝えて開始する。
  5. 子供がしまい終えたら、親はすぐに質問せず、自分から報告するかを見る。
  6. 報告を受けて、親がタオルと引き出しの状態を確認する。
  7. 活動を終えて報告できたことを褒め、約束した絵本を読めるようにする。

報告を促す声掛けが必要だった場合は
その手助けを記録します。

制限時間を使った場合も
単に間に合ったかだけでなく
活動の完了、報告の正確さ
自発的な報告、時間内だったかを
分けて残します。

一度できただけで習得したとは判断せず
別の機会にも同じ流れで確認します。

参考文献

日本行動分析学会編 2019年。
行動分析学事典
丸善出版。
言行一致訓練、556〜559ページ。
宣言型と報告型の手続きは556ページ。

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