自閉症児が自分で答えを確かめる〜ABAの自己評価〜

自閉症児へ家庭療育を行う時に
- 計算の答えを確かめる。
- 文字をマスの中に書く。
- 持ち物の入れ忘れを確認する。
- 玩具を決めた場所へ片付ける。
等を教えることがあります。
子供が課題を終えても
親が間違いを見つけて教えるまで
そのままになっていることがあります。
また「見直して」と伝えても
何を確認するのかが分からず
紙を眺めるだけになる場合もあります。
行動分析学事典の546ページでは
自己評価を事前に設定した目標やルールと
行動の結果を比べ達成できたかを
自分で判断することと説明しています。
以前説明したセルフマネジメントの中でも
今回は、自分で正しくできたかを
確認する部分を扱います。
以下の基準の決め方や道具の使い方
答え合わせをする問題の選び方は
文献の考え方を取り入れた
家庭療育としての私の提案です。
目次
1.客観的に確認できる基準を決める
自己評価では
何を見れば正しくできたと判断できるかを
先に決めます。
字がきれいという基準では
見る人によって評価が変わります。
書字なら
- 文字がマスからはみ出していない。
- AIが、書こうとした文字として読み取れる。
等の実際に確認できる項目へ分けます。
ただし、マスの中に収まったことと
文字の形が正しいことは別です。
AIの読み取りにも撮影状態や誤読が
影響するため読み取れたかだけで
文字の形や丁寧さまで判定しません。
算数では、取り組んだ問題の答えが
全て正しい解答と一致していることを
完成の基準にします。
子供には課題を始める前に
何ができていればよいかを伝えます。
2.間違いがある時も全問正解の時も答え合わせをする
複数の問題を解いたら
親が答案全体を確認します。
その後、子供が答え合わせをする問題を
3問ほど選びます。
間違った問題がある時は
その問題を含めて選びます。
正解した問題もあれば一緒に入れます。
全問正解の時も
正解した問題からランダムに数問を選び
答え合わせをしてもらいます。
親は、どれが間違っているかを伝えず
「この3問を答え合わせして」
と指示します。
間違いがある時だけ採点させると
確認する前から指示された問題は
間違っていると考えて
答えを変える可能性があります。
正解の時にも採点し
確認した上で正しい答えを
そのまま残すことも教えます。
間違いが多い場合は
数問ずつに分けて確認します。
抜き出した問題での自己評価と
プリント全体が全問正解かの確認は
分けて扱います。
3.道具を使って自分の答えと比べる
電卓を使う場合は問題の式を入力し
表示された答えと
自分が書いた答えを比べます。
違っていた時には
式を正しく入力したかも確認します。
子供の計算の間違いと
電卓への入力の間違いは分けます。
AIを使う場合は
問題と自分の答えを写真に撮り
画像を読み取れるAIへ送ります。
答え合わせをする問題番号を伝え
「答え合わせをして」と指示します。
子供はAIの返答と自分の答案を
一問ずつ対応させ
合っている答えには丸をつけ
違っている答えを直します。
文字の読み取りを確認する時は
「書いてある文字をそのまま読み取って」
と指示し、書こうとした文字と比べます。
AIが示した判定や答えは
親も解答などで確認します。
数図ブロックを使う場合は
式に対応する数を並べ
実際の数を確かめます。
例えば2+3なら
ブロックを2個と3個並べ
合わせた数を数えて
自分の答えと比べます。
全ての道具を使う必要はありません。
子供が使えるものを選び
操作が難しい部分は親が手伝います。
4.比べることが難しい子供は重ねて確認する
言葉や数字だけでは
正誤を比べることが難しい子供には
マッチングを使い対応するものを重ねて
確かめる方法も使います。
文字カードで答える課題なら
正解の文字を透明なシートに印刷し
子供が選んだ文字カードへ重ねます。
同じ字体と大きさで用意し
向きと位置をそろえて
文字の形が一致するかを確かめます。
数を答える問題なら
子供が答えた数だけ
ブロックを用意します。
そのブロックを
問題のイラストに一つずつ重ねます。
全ての絵に一つずつ置けて
ブロックも余らなければ
答えた数と絵の数が一致しています。
絵が残ったりブロックが余ったりしたら
数が違うことを確かめ
もう一度数えて答えを直します。
この時には、用意したブロックの数が
子供の答えた数字と対応しているかも
確認します。
数字からその数のブロックを
用意する部分を親が手伝った場合は
重ねて確認する部分と分けて記録します。
5.確認できたことと、直せたことを分ける
親は子供の答え合わせが終わった後に
- 正しい答えを、正しいと判断できたか。
- 間違った答えを、違うと判断できたか。
- 間違いを見つけた後に直せたか。
を確認します。
間違いに気づいても
数字を書き直せないのであれば
書く部分を手伝います。
計算のやり方が分からないのであれば
計算する方法を教え直します。
親が間違った場所を指さしたり
そこを見るように伝えたりした場合は
確認を助ける
プロンプトとして記録します。
AIから間違いの場所を示された場合と
見本や電卓の結果と比べて
自分で違いを見つけた場合も分けます。
同じように直せていても
子供自身が判断した部分が違うためです。
道具を使って答え合わせができたことと
道具なしに問題を解けることも
別に確認します。
一度できただけで習得したとは判断せず
別の日にも、どの道具や手助けで
どこまで確認できたかを見ます。
実践例
外出前に
水筒とハンカチを準備する場面です。
写真と実物を対応させることと
必要な物をいつもの場所から
持ってくる動作は
既にできる子供を想定します。
今回の基準は水筒とハンカチが
両方そろっていることです。
- 親が水筒とハンカチの写真を一枚ずつ置く。
- 子供が準備した物を、対応する写真の横へ並べる。
- 親が「写真と同じ物がそろっているか確認して」と伝える。
- 子供が写真と実物を一つずつ比べる。
- 足りない物があれば持ってくる。そろっていれば、そのままでよいと判断する。
- 両方そろったことを確かめてから、かばんへ入れる。
水筒しか用意していない時も
両方そろっている時も
同じように確認してもらいます。
不足していた物を見つけられた時は
「ハンカチがないことに気づけたね」
と応じます。
両方そろっていることを確認できた時も
「二つともあることを確認できたね」
と応じます。
参考文献
竹内康二 2019年。
セルフ・マネジメント(自己管理)。
日本行動分析学会編
行動分析学事典
丸善出版、544〜547ページ。
自己評価の説明は546ページ。
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