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自閉症児に行動を教えるためのヒント〜ABAのプロンプト〜

自閉症児に新しい行動を
教える時に指示だけでは
行動できないことがあります。

  • 何をすればよいか分からない。
  • やり方が分からない。
  • 途中で止まる。

このような時に使う手助けが
プロンプトです。

ただしプロンプトは
親が代わりにやることではありません。

子供が正しい行動をしやすくするための
手助けです。

1.プロンプトは正しい行動を出しやすくする手助け

プロンプトとは子供が正しい行動を
行いやすくするための手助けです。

例えば

  • コップを流しへ運ぶ。
  • 椅子を戻す。
  • 服をかごへ入れる。
  • おもちゃを箱へ片づける。

等の行動です。

指示だけでできない時に
待つ、言葉で助ける、見本を見せる
体を支える等の方法で
行動を教えます。

大切なのは
最初から親が全部やることでは
ありません。

子供が少しでも
自分で動くことです。

2.主なプロンプト

様々な種類のプロンプトがありますが
代表的なものは次の通りです。

先行条件操作はプロンプトと異なる考え方
もありますが同じような種類と考えても
基本的には差し支えがないです。d

3.まずは待つプロンプトを優先する

プロンプトを出さないと行動しない状態は
プロンプト依存と呼ばれます。

プロンプト依存になるのは
子供が困っていたらすぐに
親がプロンプトを出す時です。

プロンプト依存を防ぐために
優先されるのは待つプロンプトです。

親が指示を出した後
すぐに手伝うのではなく
子供の自主的な行動を待ちます。

この待つこと自体がプロンプトです。

待つことで子供は自分から
行動を始める機会を持てます。

研究でも
最初から最大のプロンプトを入れる方法と
まず自分でやらせできなければ助ける方法
を比べると
まず自分でやらせる方法では
成功も失敗も増えることが
示されています。

つまりそれだけ試行錯誤の機会が
増えるということです。

失敗は増えますが
自分で考えて動く行動も
増えます。

最初に教えたいのは
正解そのものだけではなく
まず子供自身が考えて行動することです。

4.言語プロンプトは短く具体的に使う

言語プロンプトは
言葉で行動を助ける方法です。

例えば

  • 「コップを持って」
  • 「椅子を戻して」
  • 「箱に入れて」

のように使います。

ここで注意が必要なのは
頭文字だけを言う方法です。

例えば
「ありがとう」を教える時に
「あ」とだけ親が言って
続きを言わせる方法があります。

しかしこれは

  • 「あ」→ありがとう
  • 「あ」→あけて

のように教えたい複数の言葉が
同じ頭文字の場合使用ができません。

そのため
頭文字だけをヒントにする方法は
避けた方がよいです。

言語プロンプトを使うなら

  1. 言葉全体を教える。
  2. その後子供一人で言わせる

で良いです。

例えば

  1. 親が持っているおもちゃを引っ張って「ください」と子供が言う。
  2. 親が「真似して、かして」と言う。
  3. 子供が「かして」と言う。
  4. 親が「かしてだね、もう一回言って」と言う。
  5. 子供が「かして」と言う。
  6. 親が「かしてだね」と言っておもちゃを貸す

このように教えます。

5.モデリングは見本を見せる方法

モデリングは親が見本をやって見せて
子供に同じように行動させる方法です。

例えば

  • 親が椅子を戻して見せる。
  • 親が服をかごへ入れて見せる。
  • 親がコップを流しへ運んで見せる。

このような形です。

体の動かし方が難しい場合はより細かい
行動に分ける必要があります。

例えばモデリングで手洗いができない場合
タオルで手を拭くことだけを練習します。

6.身体プロンプトはすぐ行動を始めさせたい時に使う

身体プロンプトは
子供の体を支えて
行動を始めさせる方法です。

例えば

  • 手をつないで移動する。
  • 子供の手にコップを持たせる。
  • 背中に軽く触れて前へ進ませる。
  • 椅子に座るよう体を誘導する。

このような方法です。

身体プロンプトは親が指示を出したのに
行動しない時に有効です。

まだ親の指示に従うことが
難しい段階では多用します。

特に使用するのは
嫌いな活動の開始時です。

逃避行動の消去の項目で解説しましたが
活動の切り替え時に多用します。

行動を教えるために身体プロンプトを
使うことは親の操り人形になるだけなので
効果がないことが多いです。

7.先行条件操作は視覚プロンプトを含む

先行条件操作は行動の前に
環境を整える方法です。

ここでは視覚プロンプトも同様に
まとめて考えます。

例えば

  • 片づける箱を大きくして分かりやすくする。
  • 使う道具を順番に並べる。
  • 宿題の最初の問題を開いておく。
  • 脱いだ服の近くにかごを置く。
  • 椅子を戻す場所が分かるようにする。

このような方法です。

先行条件操作は
適切行動を起こしやすくする
効果があります。

ただし
プロンプト依存を防ぐという意味では
優先度は高くありません。

なぜなら減らしていくこと=
フェイディングしにくいからです。

環境を整えるとその環境がないと
できなくなることがあります。

そのため
プロンプト依存を防ぐ上で
優先されるのは待つプロンプト等の
減らしやすいプロンプトです。

先行条件操作は
必要な時に使いますが

それだけに頼りすぎないことが
重要です。

8.プロンプトは減らすより足していく

プロンプトについては最大から最小に
減らすことばかりが強調されがちです。

しかし実際の指導では
最初から最大のプロンプトを
入れるよりもまず待つプロンプト
できなければ足す
さらにできなければもう一段階足す
という考え方の方が重要です。

つまりプロンプトは可能な限り
少なくしておき
行動ができなければ足していくものです。

このようにすることで最小限のプロンプト
で行動させることが可能になり
行動ができやすくなります。

9.コンプライアンストレーニングをしておくとプロンプトや特別なご褒美に頼らなくていい

プロンプトが最大から使われることが
推奨される背景には
子供に癇癪を起こされることを
恐れてのことであることが多いです。

このような時に先に練習しておくと
効果的なのが
コンプライアンストレーニングです。

簡単な指示に従う練習を練習します。

例えば

  • 座って。
  • 立って。
  • コップを取って。
  • 本を渡して。
  • 手を上げて。

等です。

この練習を続けると特別なご褒美なしに
指示に従って課題に取り組むことが
できるようになります。

同様に
プロンプトで癇癪を防いだりする必要が
少なくなり待つプロンプトを
多く使えるようになります。

プロンプトを極力使わないために
最初のコンプライアンストレーニングは
重要です。

10.プロンプトで正解させた後は必ず一人でやらせる

プロンプトを使って正解できたとしても
その一回だけで終わってはいけません。

親が教えてできた後にもう一度
同じ問題を一人でやらせます。

例えば

  1. 最初に一人で書かせたが間違えた。
  2. 親が見本を見せて漢字を一つ書けた。
  3. その後に同じ漢字をもう一回一人で書かせた。

この流れです。

プロンプトでできた時は
その場だけの成功で
終わりやすいです。

本当に身についたかは
同じ問題を一人でできるかで確認します。

12.プロンプトを使わない方がよい場面もある

プロンプトは便利ですが
使わない方がよい場面もあります。

代表的なのは
自主的にアイコンタクトをして
要求するべき場面です。

例えば

  1. 欲しい物がある時に自分から親を見る。
  2. 親を見て発声する。
  3. 親を見て何か伝えようとする。

このような行動です。

この場面で親がすぐに

  • 「目を見て」
  • 「貸してって言って」

とプロンプトを出すと親の指示がないと
要求しない状態=プロンプト依存に
なりやすいです。

このような場合

  1. 自然な環境の中でアイコンタクト。
  2. 自然な環境の中で自発的な発声。

をくすぐり等で強化していきます。

その後に要求場面で待つプロンプトを使い

  • 自発的に親を見て。
  • 何か声を出す。

行動を促します。

このような場面ではプロンプトを使うより
待つことの方が重要になります。

実践例

ひらがなの読み方を教える方法について
解説します。

  1. 「あ」のひらがなを見せて子供に「読んで」と言った。
  2. 子供が「う」と読んだ。
  3. 親は「これは『あ』」と教えた。
  4. 子供は「あ」と読んだ。
  5. 親は再度「あ」のひらがなを見せて子供に「読んで」と言った。
  6. 子供は「あ」と読んだ。

このようにプロンプトで読み方を教えた上
再度正解するまで続けます。

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