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ご褒美を使わなくても日常の行動を習慣にする方法〜ABAのプレマックの原理〜

自閉症児に

  • プリントをしてから動画を見よう。
  • 片づけたらおやつを食べよう。
  • 着替えたら公園へ行こう。

と伝えることがあります。

子供が普段からよく行っている活動を
普段は行いにくい活動の後に
できるようにすることで
行いにくい活動を増やす方法です。

この方法を
プレマックの原理と呼びます。

例えば子供が

  • 勉強にはなかなか取り組まない
  • 動画は自分から何度も見ようとする。

という状態だったとします。

この場合は

  • プリントが起こる可能性の低い行動。
  • 動画を見ることが起こる可能性の高い行動です。

先にプリントを行った後にだけ
動画を見られるようにすることで
プリントへ取り組む行動が
増えることがあります。

1.起こりやすい行動を強化に使う

プレマックの原理では
起こる可能性の高い行動を
起こる可能性の低い行動の後に
させるようにします。

例えば子供が

  • 自分からゲームはする。
  • 自分から宿題はしない。

のであれば宿題を終えた後に
ゲームをできるようにします。

順番は

  1. 起こりにくい行動。
  2. 起こりやすい行動。

となります。

2.好きかどうかではなく行動の頻度で決める

プレマックの原理で起こりやすい行動は
必ずしも好きな活動でなくても
問題ありません。

例えばお風呂に入ったら
自分で体を洗ったりするこのように
習慣になっている行動であれば
使用できます。

3.環境的に近い行動を組み合わせる

プレマックの原理では

先に行う行動と後に行う活動が
環境的に近かったり
関連性が強かったりする方が
成功しやすくなります。

例えば

  • 入浴前に着替えを取りに行く。
  • 外出前に靴を履く。
  • 食事前に椅子へ座る。
  • 飲み物を入れる前にコップを持ってくる。

という組み合わせです。

着替えを取った後に
そのまま浴室へ移動する。

一方で

  • 入浴前に勉強する。
  • 外出前に漢字を書く。
  • 食事前にカード課題を行う。

という組み合わせでは
先の行動と後の活動に
直接的な関連がありません。

このような組み合わせでも
プレマックの原理は使用できますが
関連性がないため自然な流れで
行動を教えることが難しくなります。

4.先に行うことと後に行うことを決める

プレマックの原理を使う時は

  • 先に何をするか。
  • どこまで行えば終了か。
  • 終了後に何ができるか。

を始める前に決めます。

例えば

  • 着替えを脱衣所へ運んだら入浴する。
  • 靴を自分で履けたら庭へ出る。
  • 歯磨きが終わったら寝室で本を読む。

という形です。

子供が行う行動と終了の基準を
観察できる形で決めます。

5.行動の順番は基本的には反対にしない

プレマックの原理を使用すると
起こる可能性の高い活動を
先にすることは基本NGです。

ですが子供の能力が上がってきて
予定が自分で決められるのであれば
先に起こる可能性の高い行動をしても
問題はありません。

ただし
子供が決めた順番で
ルールを守れなかった場合は
次の日はまた起こる可能性の低い行動を
先にしましょう。

6.高確率指示連鎖とは異なる

高確率指示連鎖とプレマックの原理は
どちらも

  • 高確率。
  • 低確率。

という言葉を使います。

しかし方法は異なります。

高確率指示連鎖では
従う可能性の高い指示を
2〜3個出した後に
従う可能性の低い指示を出します。

プレマックの原理では
起こりにくい行動の後に
起こりやすい活動を行います。

高確率指示連鎖は指示に従う流れを
利用する方法です。

プレマックの原理は
行動後にできる活動を利用して
低確率行動を増やす方法です。

7.バックワードチェイニングと組み合わせられる

バックワードチェイニングとは
複数の行動からなる課題を
最後の行動から教える方法です。

例えば入浴前の準備を

  1. 引き出しを開ける。
  2. 着替えを出す。
  3. 着替えをかごへ入れる。
  4. かごを脱衣所へ運ぶ。

という行動に分けます。

最初は親が

  1. 引き出しを開ける。
  2. 着替えを出す。
  3. 着替えをかごへ入れる。

ところまで行います。

子供には最後のかごを脱衣所へ運ぶ
という行動だけを行わせます。

子供がかごを運んだ直後に
入浴が始まります。

この場合は

  1. 最後の行動を行う。
  2. すぐに次の活動が始まる。

という流れになります。

最後の行動が
一人でできるようになったら段々と

  1. 着替えを出す。
  2. 着替えをかごへ入れる。
  3. かごを脱衣所へ運ぶ。

という形で
担当する部分を増やします。

バックワードチェイニングは一連の行動を
後ろから教える方法です。

プレマックの原理は
行動後に続く活動によって
先の行動を増やす方法です。

二つを組み合わせることで

子供が行動した直後に
自然な次の活動へ進めるようになります。

8.プレマックの原理は一人でできる行動に使う

プレマックの原理を使用できるのは
親から声をかけられた時に
子供が一人で行える行動です。

例えば

  • 一人で上着を着られる。
  • 着替えを脱衣所へ運べる。
  • 玩具を決めた箱へ入れられる。
  • 一人で歯を磨ける。

という行動です。

これらの行動を
一人でできるにもかかわらず

指示を受けない限り自然に始めない時に
プレマックの原理を使います。

一方で子供が

  • 文字を読めない。
  • 服の着方が分からない。
  • 歯ブラシの動かし方が分からない。
  • 片づける場所を知らない。
  • 複数の手順を順番に行えない。

という状態では必要な行動を
まだ習得していない状態です。

この場合は先に行動の習得を目指します。

9.不自然なご褒美を減らす時に使いやすい

新しい行動を教える時に

  • お菓子。
  • 動画。
  • 玩具。
  • シール。

等の不自然なご褒美=好子を
使用することがあります。

これらは行動を
教え始める時に使いやすいです。

しかし毎回必要になると好子がなければ
行動しない状態になることがあります。

プレマックの原理は不自然な好子を減らし日常生活の中で起きる
自然な活動を使うことと
非常に相性がよい方法です。

使い方には二つの段階があります。

最初は日常生活の要求場面を使って
新しい行動を教えます。

例えば子供が

  • おやつを欲しがっている時に着替えを衣装ケースから出すことを教える。
  • 外へ出たがっている時に掃除の方法を教える。

という行動を教えます。

子供のモチベーションが高いため
行動の習得が比較的容易です。

次に

教えた行動を
日常生活の固定した順番にします。

  • お風呂に入る前に着替えを準備する。
  • 食後に拭き掃除をしてから離席する。

という流れです。

目標は一時的な好子で
行動させ続けることではありません。

  1. 行動を教える。
  2. 日常生活の固定した順番でできることを増やす。

という順番で習慣化します。

10.生理現象が迫っている時には使いにくい

プレマックの原理は先の行動が終わるまで
次の活動を待たせる方法です。

そのため

  • 排泄。
  • 睡眠。

等が必要な時には
使いにくいことがあります。

例えば

  • トイレへ行く前にプリントをさせる。
  • 就寝時刻が近い時に複数の課題を終わらせる。

という対応は行いません。

生理的に必要な行動を課題の強化として長時間待たせることは
適切ではありません。

11.時間に余裕がない時には使いにくい

プレマックの原理は
子供が先の行動を終えるまで
待つ必要があります。

そのため

  • 出発時刻が迫っている。
  • 登園時間に遅れそうである。
  • 予約時間が決まっている。
  • 親がすぐに移動する必要がある。

という場面では使いにくくなります。

例えば外出直前に
プリントを終えたら外へ出ようと伝えても子供が課題を始めなければ
出発できません。

親が待てなくなり

  • 課題を中止する。
  • 親が代わりに行う。
  • 先に外へ出る。

という結果になるとプレマックの原理が
成立しません。

実践例

子供が帰宅後に

  1. 上着を脱ぐ。
  2. 上着を決めた場所へかける。
  3. 洗面所へ移動する。
  4. 手を洗う。

という行動を教える場合です。

子供は帰宅するとすぐに冷蔵庫へ行き
飲み物を要求していました。

親が

  • 上着をかけて。
  • 手を洗って。

と指示しても

  • 上着を床へ置く。
  • 冷蔵庫の前で待つ。
  • 親の手を引く。

という行動をしていました。

子供は上着を脱ぐことと
手を洗うことはできます。

しかし一連の行動を声かけなしで
一人で行うことはできません。

そこでプレマックの原理を使います。

子供がジュースを要求してきたら
「何するんだっけ?」と声かけをして
手洗いを促します。

できるようになってきたら手を洗わずに
ジュースを要求してきても
親は気づかないふりをすることで
子供が自分から手を洗いにいくように
働きかけます。

このように徐々にプロンプトを減らして
一人で手洗いを習慣化できるように
教えていきます。

メルマガをしています。

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