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自閉症児に一連の行動を教える〜ABAのチェイニング〜

自閉症児に生活行動を教える時には

  • 「着替えて」
  • 「片づけて」
  • 「準備して」

と伝えるだけでは
行動できないことがあります。

大人には一つの行動に見えることでも
実際には複数の行動がつながっています。

例えば着替えには

  1. 着替える服を出す。
  2. 今着ている服を脱ぐ。
  3. 下着を正しい向きに着る。
  4. 上着を正しい向きに着る。
  5. ズボンを正しい向きに履く。
  6. 脱いだ服をかごへ入れる。

という行動があります。

これらの行動を
順番につなげて教える方法を
チェイニング=行動連鎖化と呼びます。

子供ができない時に
親が全部代わりに行うのでは
ありません。

一連の行動を小さく分けて

  • 親が行う部分。
  • 子供が一人で行う部分。

を決めます。

子供が一人で行う部分を少しずつ増やし
最終的に一連の行動が
できる状態を目指します。


チェイニングは基本的に指示があれば
子供一人でできる行動であるけれど
順番ややることを覚えていない時に
使います。

1.最初に行動を小さく分ける

一連の行動を教える時は
最初に行動を細かいステップに分けます。

これを課題分析と呼びます。

例えば帰宅後の支度なら

  1. 玄関へ入る。
  2. 靴を脱ぐ。
  3. 靴をそろえる。
  4. 上着を脱ぐ。
  5. 上着を掛ける。
  6. かばんを机の上に置く。
  7. 洗面所へ行く。
  8. 手を洗う。

というように分けます。

一つの行動であったとしても
細かく分けることは可能です。

例えば靴を履く場合も

  1. 玄関に座る。
  2. 左の靴を持つ。
  3. かかとを広げる。
  4. つま先を入れる。
  5. 足を押し込む。
  6. かかとを直す。
  7. 右の靴を持つ。
  8. 左と同様に履く。
  9. 立ち上がる。

という行動があります。

子供がどこで止まるのかを
観察できる程度まで小さく分けます。

それができたら現時点で
子供がどこまでできるかを確認するため
実際に一人で行動をさせてみます。

今の子供のレベルによって
行動のステップをさらに細かくしたり
簡単なのでステップを荒くしたりします。

2.前から教える方法がフォワードチェイニング

一連の行動を
最初の部分から順番に教える方法を
フォワード(前向き)チェイニング
と呼びます。

例えば食事の準備なら

  1. 手を洗う。
  2. 食器を受け取る。
  3. 自分の席に食器を置く。
  4. 椅子を出す。
  5. 椅子に座る。
  6. 箸を持つ。
  7. 「いただきます」と言う。

という行動があります。

最初は子供に手を洗う行動だけを
一人で行わせます。

その後の行動は親が手伝います。

手を洗う行動を覚えたら2食器を受け取る
を教えていきます。

このように最初の行動から
一つずつ増やします。

フォワードチェイニングは行動の始め方を
教えたい時に使いやすい方法です。

自分から活動を始められず
親の指示を待つ子を改善しやすいです。

3.最後から教える方法がバックワードチェイニング

一連の行動の
最後の部分から教える方法を
バックワード(後ろ向き)チェイニング
と呼びます。

例えば上着を着る場合です。

  1. 親が上着を準備する。
  2. 親が袖へ腕を通す。
  3. 親が上着を肩まで上げる。
  4. 親が「ファスナー閉めて」と指示を出す。
  5. 最後に子供がファスナーを上げる。

という形から始めます。

ファスナーを上げる行動が
できるようになったら

  1. 親が袖へ腕を通す。
  2. 子供が上着を肩まで上げる。
  3. 子供がファスナーを上げる。

という形にします。

フォワードチェイニングでは
子供が最後の行動までを行うため
即活動の終了へつながります。

行動終了後に即時に褒めて行動を強める
即時強化が使いやすかったり
習慣化された行動の前に
習慣化されていない行動を足すと
習慣化されていない行動も
習慣化していくというプレマックの原理
が使いやすかったりします。

また新たに教える行動が
一番最初に来るので行動を忘れづらい
というメリットもあります。

このようなメリットから最後の行動から
の方が教えやすい場合が多いです。

4.最初から全てやらせる方法トータルタスクプレゼンテーション

一連の行動を毎回最初から最後まで
子供に行わせる方法があります。

これをトータルタスクプレゼンテーション
(全行程法)と呼びます。

子供ができる部分は一人で行わせ
できない部分には
親が手伝い=プロンプトを出します。

例えば手洗いなら
洗面所へ行くところから
タオルで拭くところまで
毎回全て子供に行動してもらいます。

ただし
子供が止まる度に
親が代わりに行う方法には
注意が必要です。

  1. 子供が止まる。
  2. 親が続きを行う。

という流れを繰り返すと
止まれば親がしてくれる
と学習する可能性が高いです。

こうなると毎回異なるポイントで間違い
いつまでも行動を覚えないこと
があります。

5.それぞれの方法の違い

フォワードチェイニング
バックワードチェイニング
トータルタスクプレゼンテーションの
それぞれの特徴は次の通りです。

6.子供が止まってから親が代わりにしない

一連の行動の途中で子供の行動が止まると
親が手伝ったり(プロンプト)
残りを行ったりすることがあります。

例えば着替えで

  1. 子供がズボンを持つ。
  2. 途中で寝転ぶ。
  3. 親がズボンを履かせる。

という流れです。

これを繰り返すと

  1. 途中まで子供が行う。
  2. 子供の行動が止まる。
  3. 親が終わらせる。

という行動が
増える可能性があります。

子供の行動が止まった場合は
身体プロンプトを使って
すぐに次の行動をさせます。

ただし身体プロンプトを使った場合は
再度子供一人で行動をやり直させます。

7.適切行動の後には強化を行う

チェイニングでは行動を分けるだけでなく
適切行動の後に強化を行うまでが
セットです。

例えば手洗い後には

  • リビングへ行って遊べる
  • おやつを食べられる。
  • 夕食を始められる。

という自然なご褒美=好子があります。

このように最終的に活動が終わって
次の行動へ進めることが
自然な強化になるように
行動を教えましょう。

一方チェイニングで生活行動を教える時に

  • 一つ行動する度にお菓子を渡す。
  • スマホを見せる。
  • シールを渡す。

という行動とは関係のない
不自然なご褒美を使うと
短期的には行動が増えやすいです。

しかし行動を覚えた後に
毎回お菓子やスマホが
得られるわけではありません。

そのため最初から不自然なご褒美は
使わない方が良いのです。

自然なご褒美=好子による強化が
使いにくい子の場合も

  • 同じ時間。
  • 同じ場所。
  • 同じ順番。

で行動を繰り返し
行動の習慣化を目指します。

8.問題行動が起きた後に担当を減らさない

子供が一連の行動中に
泣いたり寝転んだりすると

  • 今日は疲れているから。
  • 時間がないから。
  • かわいそうだから。

と子供が行う部分を
減らすことがあります。

しかし問題行動が起きた後に
担当を減らすと

  • 泣けば親がしてくれる。
  • 寝転べば行動が減る。

と学習する可能性があります。

子供が行う量は行動を始める前に

  • 今日はズボンだけ履く。
  • 今日は服を一枚だけかごへ入れる。
  • 今日はおもちゃを三つだけ片づける。

というように決めます。

問題行動が起きた後に
その場で減らしません。

一方、行動を始める前に
子供が不機嫌であったりした場合は
そもそも行動をさせようと
しなくて良いです。

  • 行動が始まる前の不調はそもそも行動させない
  • 行動が始まった後の不調は行動させる

というルールにしましょう。

9.一連の行動ができたら指示をまとめる

行動を教え始めた時は一つの指示で
一つの行動をさせます。

  • 「上着を脱いで」
  • 「ハンガーへ掛けて」
  • 「かばんを置いて」
  • 「手を洗って」

という形です。

それぞれの行動が
できるようになったら
指示をまとめます。

「はい、やって」

という一つの指示で

  • 上着を脱ぐ。
  • 上着を掛ける。
  • かばんを置く。
  • 手を洗う。

という行動を
続けて行わせます。

これがチェイニングによって
行動がつながった状態です。

親が毎回次の指示を出し続けると
子供は親の指示を
待つようになることがあります。

一つずつできるようになったら
親の音声指示の回数を減らし
一連の行動へつなげます。

実践例

洗濯物を畳んで
引き出しへ入れる行動を
教える場合です。

これまでは親が
洗濯物を子供の前へ置き

「自分の服を片づけて」

と伝えていました。

しかし子供は
洗濯物を触った後に
別の場所へ行ったり

服を一枚だけ持って
止まったりしていました。

親はその度に

  • 「畳んで」
  • 「引き出しに入れて」
  • 「まだ残っているよ」

と声をかけていました。

最後は親が
残った洗濯物を
片づけていました。

まず洗濯物を片づける行動を
小さく分けます。

  1. パンツを一枚取る。
  2. パンツを畳む。
  3. 畳んだパンツを持って立つ。
  4. 引き出しまで運ぶ。
  5. 引き出しを開ける。
  6. 服を入れる。
  7. 引き出しを閉める。

この子は服を畳むことが
まだ難しかったため
最初から親子の役割を決めます。

  1. 親が子供の服だけを分ける。
  2. 親がパンツを畳む。
  3. 子供が畳んだパンツを持つ。
  4. 子供が引き出しまで運ぶ。
  5. 子供が服を入れる。
  6. 子供が引き出しを閉める。

という形です。

最初は最後の行動に近い

  • 服を引き出しへ入れる。
  • 引き出しを閉める。

という部分から
子供に行わせます。

これはバックワードチェイニングです。

親が畳んだパンツを子供へ渡します。
「パンツを持って」と言っても
子供がパンツを持たない場合は
身体プロンプトで親がパンツを持たせ
「そうだね」と言ってから
パンツを再度置いて「パンツを持って」
と伝えてさっと子供が服を持てるまで
やり直しします。

できるようになったら他の衣服を
持たせるなどします。

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