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自閉症児が合図が出たら一人でできるために〜ABAの刺激性制御〜

自閉症児に行動を教えた時に

  • 親が指をさせばできる。
  • 母親が近くにいればできる。
  • 何度も言われればできる。
  • 怒鳴られたら動く。

ということがあります。

この場合は
行動そのものを知らないのではなく
どの指示を手掛かりに
行動しているのかが
理解されていない可能性があります。

例えば片づける行動なら

  • 遊びが終わったこと。
  • 親の「片づけて」という指示。
  • タイマーの終了音。

等を合図にして
片づけることが考えられます。

特定の合図がある時に
決まった行動が起こる状態を
刺激性制御または刺激統制と呼びます。

最終的には

  • 親の指さし。
  • 繰り返しの指示。
  • 怒鳴り声。

等ではなく

生活の中にある
自然な合図で行動できることを
目指します。

1.刺激性制御は合図によって行動が起こること

刺激性制御とは

特定の

  • 人。
  • 場所。
  • 物。
  • 言葉。
  • 音。
  • 時間。

等が合図となり
行動が起こることです。

例えば

  • 信号が赤になったら止まる。
  • 名前を呼ばれたら相手を見る。
  • 「座って」と言われたら座る。
  • チャイムが鳴ったら席へ戻る。
  • 玄関に入ったら靴を脱ぐ。

等です。

行動ができるかだけではなく

何を手掛かりに
その行動をしているのかを
確認する必要があります。

2.刺激性制御とプロンプトは役割が違う

刺激性制御とプロンプト
同じものではありません。

刺激性制御は特定の合図によって
行動が起こる状態です。

プロンプトは本来の合図だけでは
正しい行動が起こらない時に加える
一時的な手助けです。

例えば最終目標を
親から「片づけて」と言われたら
片づけを始めるとします。

この場合の本来の合図=刺激生制御は
「片づけて」という親の指示です。

しかし子供が指示だけでは動かないため

  • 片づける物を指さす。
  • 親が片づける見本を見せる。
  • 最初の一個を一緒に片づける。

等の手助けを
加えることがあります。

これがプロンプトです。

プロンプトを使って
片づけられたとしても

「片づけて」という指示による
刺激性制御ができたとは
まだ考えません。

子供が

  • 親の指さしを見て片づける。
  • 親が動き始めたら片づける。
  • 親が近づいたら片づける。

という状態なら本来の指示ではなく
プロンプトによって
行動しているからです。

プロンプトも
子供の行動前に提示されるため
一つの刺激になります。

そのためプロンプトを
長期間使い続けると

本来の合図ではなく
プロンプトによって
行動するようになることがあります。

例えば

  • 「片づけて」だけでは動かない。
  • 指をさされると動く。
  • 親が立ち上がると動く。
  • 大きな声で言われると動く。

という状態です。

このような状態を
プロンプト依存と呼びます。

プロンプトを使うこと自体が
悪いわけではありません。

指示だけでできない時に
正しい行動を経験させるためには
必要になることがあります。

ただしプロンプトを使った後は

  • 同じ課題を最初からやり直す。
  • 本来の合図だけを出す。
  • 子供が一人で行動するか待つ。

という確認が必要です。

最終的には
プロンプトがあるから行動するのではなく
本来の合図によって行動する状態
を目指します。

3.弁別を学習すると刺激性制御が作られる

弁別は条件の違いに応じて
行動を変えることです。

刺激性制御は特定の条件を手掛かりに
行動する状態です。

例えば

  • 赤信号では止まる。
  • 青信号では道路を渡る。

という弁別を学習すると

赤信号が止まる行動の合図になり
青信号が道路を渡る行動の合図
になります。

条件ごとに正しい行動を繰り返すことでその条件による刺激性制御が作られます。

4.意図していない合図で行動していることがある

子供が正解していても
親が意図した合図=刺激を
見ているとは限りません。

例えば二枚のカードから
正解を選ぶ課題です。

子供が文字を読んで
選んでいるように見えても

  • 正解のカードがいつも右側にある。
  • 正解だけ背景の色が違う。
  • 親が正解のカードを見る。
  • 親の指が正解の近くにある。
  • 同じ順番で問題を出している。

という別の手掛かりで
選んでいる可能性があります。

この状態では
文字を読めるようになったとは
考えません。

文字ではなく

  • カードの位置。
  • 背景の色。
  • 親の視線。

等によって行動しているからです。

5.刺激性制御ではなくコンプライアンスの問題の場合もある

親の指示で子供が行動できない時に

  • 指示を理解していない。
  • 指示が行動の合図になっていない。

と考えることがあります。

しかし指示の意味を理解していても
行動するモチベーションが低いため
指示を聞いた上で
あえて子供が行動しない場合があります。

この場合は刺激性制御ではなく
コンプライアンスの問題である
可能性があります。

コンプライアンスとは
他者の指示に従って
行動する能力のことです。

例えば子供が遊んでいる時に
親から「おもちゃを片づけて」
と言われた場合です。

子供は片づける場所を知っていて
親が細かく教えなくても
一人で片づけられます。

同じ指示でも
片づけた後に外出できる時は
すぐに行動します。

しかし片づけた後に
苦手な課題が始まる時は

  • 親を見ない。
  • 聞こえないふりをする。
  • 別のおもちゃで遊び続ける。
  • 「後で」と言う。

という行動が起こります。

この場合は

  • 「片づけて」という言葉を
    理解していない。
  • 片づけ方が分からない。

とは考えにくいです。

片づけることにメリットがないために
指示に従っていない可能性があります。

刺激性制御の問題か
コンプライアンスの問題かは

  • 好きな活動の前なら指示に従うか。
  • 同じ指示を別の場面では実行できるか。
  • 指示後の活動によって行動が変わるか。
  • 親が最後まで行動させる時は従うか。
  • 繰り返しや強い声の後なら動くか。

を確認します。

本来の指示だけで
行動できる能力があるのに
嫌な活動の前だけ
指示に従わないのであれば
プロンプトを増やしても
問題は解決しません。

  • 指をさす。
  • 見本を見せる。
  • カードを見せる。
  • 同じ指示を言い換える。

という対応を増やすと
何度も言われるまでは行動しなくてもよい
と学習する可能性があります。

コンプライアンスの問題では

  1. 子供の近くで一度だけ指示する。
  2. 指示後に行動を始めるまで待つ。
  3. 従わない場合は即座に身体プロンプトで行動を始めさせる。
  4. 親が手伝ってできたら再度子供一人で行動させる。
  5. 行動が終わってから次の活動へ進める。

という対応が必要です。

6.親の隠れたプロンプトを確認する

親が言葉で助けていなくても
小さな行動が
プロンプトになることがあります。

  • 子供の顔を見る。
  • 片づける物を見る。
  • 正解のカードを見る。
  • うなずく。
  • 正解を選んだ時に笑顔になる。
  • 子供の前に立つ。
  • 次に使う物を置く。

等です。

子供は課題そのものではなく
親の行動を見て
正解していることがあります。

  • 親が見ていなくてもできるか。
  • 親が少し離れてもできるか。
  • 物の位置を変えてもできるか。
  • 別の人が提示してもできるか。

を確認します。

親の小さな動きがなくなると
できないのであれば

自然な合図による
刺激性制御はできていません。

7.最終的に何を合図にするか決める

新しい行動を教える時は

最終的に何を合図にして
行動させるのかを決めます。

例えば手洗いなら

  • 親の「手を洗って」という指示を合図にするのか。
  • トイレから出たことを合図にするのか。
  • 食卓へ座る前を合図にするのか。

を決めます。

最終的な目標が
トイレから出たら一人で手を洗う
であれば

親の指示をずっと続けてはいけません。

最初は言葉で教えても
徐々に親の指示を減らし

トイレから出たこと自体で
手洗いを始められる状態を
目指します。

8.本来の合図を出した後に待つ

自然な合図や一回の指示だけで
行動できるようにするには
合図を出した後に待つ必要があります。

例えば親が「かばんを置いて」
と伝えた場合です。

指示の直後に

  • 「そこだよ」
  • 「早く」
  • 「いつもの場所」

と続けて言うと最初の指示だけで
行動を始める機会がありません。

  1. 指示を一度出す。
  2. 子供が行動を始めるか待つ。
  3. できなければ必要なプロンプトを加える。

の流れで教えます。

9.プロンプトを使った後は一人でもう一度行わせる

プロンプトによって正しい行動ができても
そのまま終了すると
プロンプトに頼ってしまいます。

例えば子供が「かばんを置いて」
という指示で違う行動をしたため
親が置き場所を指さしたとします。

子供が指さしを見てかばんを置けても最初の言葉による指示では
まだ行動できません。

再度
かばんを持たせて同じ場面を作ります。

次は親が指をささずに「かばんを置いて」
と伝えます。

一人で行動できた時に
言葉のみによる刺激性制御が
できたと考えます。

10.プロンプトによる制御を自然な合図へ移す

最初は特別な手助けが
必要なことがあります。

例えば

  • 大きな写真。
  • 目立つ印。
  • 指さし。
  • 見本。
  • 短い言葉。

等です。

しかし最終的な生活の中に
存在しないプロンプトは
徐々に減らします。

  • 写真がなければ行動できない。
  • 親が指をささなければ動かない。
  • 見本を見せなければできない。

という状態ではプロンプトが
減らせません。

  • 指さしを小さくする。
  • プロンプトを出すまでの
    時間を延ばす。

という形で減らします。

最終的には自然な状況だけで
行動できる状態を目指します。

11.自然な合図で行動できるか条件を変えて確認する

刺激性制御を確認する時は
行動と関係のない条件を
少しずつ変えます。

例えば文字を読む課題なら

  • 字体を変える
  • 文字の大きさを変える。
  • 手書きにする。
  • 遠くに文字が書いてある紙を置く。

等です。

条件を変えても同じ文字を読めれば
文字そのものが
行動の合図になっている可能性が
高くなります。

12 .危険な場面以外では怒鳴り声を合図にしない

大きな声で言われた時だけ
子供が行動する状態になると
普段の指示では動かなくなります。

親も徐々に強い声を使うようになります。

怒鳴り声は

  • 道路へ飛び出した時。
  • 火へ近づいた時。
  • 刃物へ触ろうとした時。
  • 他者を強く叩いた時。

等の危険な場面に残しておきます。

日常の片づけや着替えを
怒鳴り声で始めさせると

本当に危険な場面でも大声の効果が
薄れてしまいます。

実践例

玄関で靴を脱いだ後に
自分で靴をそろえる行動を
教える場合です。

子供は親から「靴をそろえて」
と言われれば
靴をそろえることができました。

しかし親が何も言わないと

  1. 靴をそろえず脱いだままにする。
  2. そのまま部屋へ入る。

という行動がありました。

この場合
靴をそろえる行動自体は
既にできます。

問題は

靴を脱いだことが靴をそろえる行動の
合図になっていないことです。

最終的な目標を玄関で靴を脱いだら
親の指示がなくても靴をそろえる
と決めます。

最初は子供が玄関で靴を脱いだ後に
親は何も言わず行動を始めるか待ちます。

子供が自分から靴へ手を伸ばしたら
「そうだよ」と伝えます。

子供が靴をそろえたら
そのまま部屋へ入れます。

靴を脱いでも
行動を始めない場合は親が一度だけ「靴」
と短く伝えます。

この言葉が一時的なプロンプトです。

子供が靴をそろえた後は
同じ場面をもう一度作ります。

子供に再度靴を履かせて
玄関で脱がせます。

次は親が「靴」と言わずに待ちます。

子供が一人で
靴をそろえられるか
確認します。

一人でできたら

靴を脱いだことによる
刺激性制御が
作られ始めています。

メルマガをしています。

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