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光とともに…第2巻小学校低学年編第2話

前回、嘘の集合時間を教えられた光の母親・幸子は行方不明の光を探します。車道の真ん中を歩いていた光はたまたま通りかかった萌の祖母によっては助けられ、小学校に連れて行ってもらえます。嘘の時間を教えた絵理の親に対して父・雅人は苦情を伝えました。
一方、光の日常の行動からヒントを得た幸子は身近な物を写真に撮って見せることで光がスケジュールを理解できるようになります。入学した小学校で光は最初泣いていましたが、徐々に泣かずに過ごせるようになっていきます。そんな中、20分休みの終わりに光は好きなフラフープを追って体育倉庫に入ってしまいます。それに気づかず教師は体育倉庫に鍵をかけます。光が倉庫に入っていくことを見ていた絵里は何も言いませんでした。

P54で光は車が行き交う道路を歩いていました。自閉症スペクトラム障害児の中には恐怖心を感じないことがあります。よって高い所に登ったり、コンロの火を触ったりしてしまいます。この場合、違う嫌子を用いないと行動を消すことが難しいです。例えば、歩道から車道に少しでも出てしまったらその場で肩をもってしばらく行動を制止するといった方法です。

P64で雅人と幸子が光にGPSを使うことを検討する話をしています。ココセコム等のGPS機器を使用している場合や、キッズ携帯を持たせている場合が最近は多いようです。肌身離さず常につけていることを目指すのであれば、ブレスレットのようなもののほうがよいと思います。

P70で光は7時50分という中途半端な時間で家を出発しなければならなくて、なおかつ好きなテレビ番組が流れている時間ともあって光が大泣きになると描かれています。幸子は7時50分を指す時計の写真をとって小学校の帽子の写真と一緒に見せると光は泣くことなく学校に行けるようになりました。この方法では泣かなくはなるかもしれませんが、柔軟性がない支援になってしまいます。例えば、登校時間が少しでも変わる日や休みの日にはその都度説明しないと光は泣いてしまいます。ここで問題となるのは好きなテレビ番組を途中で止められると泣くということです。ですからこの問題行動が消えれば切り替えは何時でも問題なく行える可能性が高いです。支援方法としては好きなテレビ番組を見せておいて親が急に停止します。それで子供が泣いてしまう場合は、泣き止んで落ち着くまでビデオを見せません。もしビデオを止めても子供が泣かなければすぐにビデオをまた再生してあげます。これは他行動分化強化を応用した方法ですが、とても有効です。

P77で光と同じクラスの山口という男児が教師に「東京タワーの上は?」と問いかけ教師が「こわいねぇ」と答えており、「高いねぇ」等の違った返答をすると怒るということが説明されています。これはダメです。なぜなら他人を巻き込んだこだわり行動です。怒らなければ他人には害がありませんが、外で他人に同じような行動をして同じ答えが返ってこなかったらどうなるのでしょうか。このような質問は何度も何度も繰り返し人に聞いてしまうことが多いです。ですから、その日一度答えたら後は答えない、返答方法はランダムに変えるといった対応を取ればこだわり行動がなくせます。

P79で担任の教師が自由遊びの時間が終わって切り替えられずに泣いている光を毅然とした態度で教室に戻しています。これは非常に大切な対応です。泣いているからといって「あと少しだけ」「もう少ししたら戻るよ」といった対応を取っていれば癇癪行動が有形物獲得行動の機能を持ってしまいますので、教室に戻すことで消去することができます。

P80で担任の教師が教室の棚に全てカーテンをかけており、理由を「(子供が)気が散らないようにしている」と説明しています。この対応は問題があります。TEACCHで使われるパーテーションも同様なのですが、最初から環境調整(構造化)をし過ぎているのです。カーテンは子供の気が散ってしまった時のみ閉めればよいです。それ以前からカーテンをしているとそのような環境でしか子供は集中して学習できなくなってしまう可能性があります。

P82で光が段々と学校で泣かなくなってきたことが描写されています。これは光の苦手なスケジュール変更、大きな音等の嫌子を避けさせないことで段々と慣れてきたのです。このように泣くほど苦手だから避けさせるのではなく、泣くほど苦手だから逆に慣れさせてあげようと考えることが重要です。大きな音などを避けさせ続けると最終的にはイヤーマフ等の道具を使うことになります。

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