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自閉症児の手洗い指導法〜ABAの効果的な方法〜

自閉症児へ家庭療育を行う時に
食事の前やトイレの後に
自分で手を洗うことを
教えることがあります。

洗面所へ行くことはできても
指先を水につけただけで戻ってきたり
石けんをつけてすぐに流したり
する場合があります。

この時に「ちゃんと洗って」と指示しても
何をどこまで行えばよいのか
分かっていないことがあります。

手洗いを教える時は
必要な動作を順番に教えることに加え
どの状態になったら終わりなのかを
分かるようにします。

  • 手を拭いたなら手が濡れていないこと。
  • 石けんを流したなら手に石けんが残っていないこと。

動作をしたかだけでなく
その動作によって
手がどうなったかを確認します。

ただし、見た目がきれいになっていても
石けんで十分に洗ったのか
水で流してタオルで拭いただけなのかは
区別できないことがあります。

今回は、手洗いの動作を教える方法と
その確認を補う対応について説明します。

以下の具体的な進め方は
文献の考え方をもとにした
家庭療育としての私の提案です。

1.手洗いを細かな動作に分ける

まずは手洗いができないとまとめず
どこまで一人でできるかを見ます。

  1. 水を出して手を濡らすこと。
  2. 石けんを取ること。(液体石鹸を出すこと)
  3. 手をこすること。
  4. 石けんをすすぐこと。
  5. 水を止めて手を拭くこと。

それぞれを分けて確認します。

複雑な行動を細かな動作に分けることを
課題分析といいます。

分けた動作について
それぞれの習得状況を確認します。

例えば石けんを使わない場合も
使うことを知らないのか
ポンプを押せないのかでは
教える内容が違います。

容器に手が届くか。
ポンプを押せるか。
出てきた石けんを
反対の手で受けられるか等も見ます。

2.最後の手を拭く動作から教える

全ての動作を一度に教えることが
難しい場合は
最後の動作から教えていきます。

最後の行動から教え
できるようになったら
その直前の行動を加えていく方法を
逆向連鎖化(バックワードチェイニング)
といいます。

手洗いなら、最初に
タオルで両手を拭くことを教え
次に水を止めてから拭く流れを加えます。

ここでは、手を拭くところまでを
一つの手洗いの流れとして教えます。
後に説明するアルコール消毒は
その後に親が管理して行います。

まずは最後の手を拭く部分を
子供が自分で行えるようにします。

親が子供の手を濡らした状態から
練習をします。

確実に子供一人で拭けるようになったら
次は水で泡を流してから拭くところまでを
自分で行ってもらいます。

それもできたら
石けんをすすぎ、水を止め
手を拭くところまでに広げます。

さらに、その前の
石けんで手をこする動作を加えます。

このように、最後まで一人で行える範囲を
少しずつ前へ広げていきます。

実際に手を洗う順番を
逆にするわけではありません。

既に自分でできる部分は子供に任せ
まだ難しい部分を最後から教えます。

3.動作ごとに終わりの基準を決める

手を拭く場合は手のひらや甲、指の間に
水滴や明らかな濡れが残っていないことを
終了の基準にします。

子供が「拭けた」と報告したら
親がティッシュを手に当てて
きちんと拭けているかを確認します。

まだ濡れている部分があれば
「ここが濡れているね」と指差しで伝え
その部分をもう一度拭いてもらいます。

石けんをすすぐ場合は
手に泡や石けんが全く
残っていないことを確認します。

残っていれば
その部分を流水ですすぎ直します。

手をこする場合も
て全体に泡が広がっているかを見ます。

基準を満たしていなければ
できていない部分をもう一度行います。

やり方が分からない場合は
同じ指示を繰り返すだけでなく
親が自分の手で見本を示します。

4.汚れを見えるようにして練習する

手がきれいに見える状態では
洗う前と洗った後の違いを
確認しにくいことがあります。

その場合は手に色をつけてから洗い
落ちたかを確認する練習も使えます。

例えば、水性マジックや絵の具等で
洗う前の汚れを
見えるようにする方法です。

ただし、水性という表示だけで選ばず
皮膚への使用が認められ
石けんと水で落とせる製品を使います。

画材メーカーのCrayolaも
通常の画材を意図的に肌へ塗る使い方と
皮膚用に作られた製品を
区別しています。

手の甲に色が残っていれば
「ここが残っているね」と
子供と一緒に確認できます。

その部分を石けんで洗い
すすいだ後に
色が落ちたかをもう一度見ます。

汚れが残っているから
もう一度洗うことを教えます。

5.見える汚れと、実際の洗い方を確認する

手洗いの順番を覚え
親の見本と同じ動作ができても
汚れが残っていれば洗い直します。

最後に、手のひらだけでなく
手の甲や指の間、指先も確認します。

汚れが残っていれば
石けんで洗い直し
すすいでから拭きます。

石けんが残っていればすすぎ直し
水分が残っていれば拭き直します。

ただし、この確認だけでは
細菌やウイルスを減らすための洗い方が
できていたかまでは分かりません。

水で色を流したり
タオルで拭き取ったりしただけでも
見た目はきれいになることがあります。

そのため、練習中は
洗い終わった手だけでなく
石けんを使って手全体をこする動作も
確認します。

石けんを使っていなかったり
つけてすぐに流したりしていたら
その部分を教えて洗い直します。

見える汚れが落ちたことと
必要な洗い方ができたことを
分けて判断します。

6.手洗い後のアルコール消毒を補助として加える

手洗いを練習している段階では
最後に親の管理のもとで
アルコール消毒を加える方法もあります。

ここでは、手洗いと拭き取りの後に
補助として消毒を行います。

子供に使用できる手指用の消毒剤を選び
製品に表示された量と使い方を守ります。

手のひらだけでなく
手の甲や指の間、指先にも行き渡らせ
乾くまですり込みます。

消毒液は途中で水に流したり
タオルで拭き取ったりしません。
親がそばで見て
口や目に入れないようにします。

ただし、アルコール消毒を加えても
石けんで洗う練習は必要です。

実践例

子供は自分で手を濡らせますが
石けんでこすることや
十分にすすぐことは
まだ一人では難しいとします。

まず親が必要な手助けをして
洗ってすすぐところまで進めます。
最後の手を拭く部分を
子供に行ってもらいます。

タオルを使っても手が濡れていれば
残っている部分を示し
もう一度拭いてもらいます。

濡れがなくなったら
「手が乾いたね」と短く褒めます。

別の機会にも自分で拭けるようになったら
水を止めてから拭くところまで
子供が行う範囲を広げます。

これらをおやつの前に行うことで
子供が意欲的に取り組めるようにします。

参考文献

日本行動分析学会編 2019年。
行動分析学事典
丸善出版。

Centers for Disease Control and Prevention。
About Handwashing
2024年2月16日付。
手洗いの手順と、こする時間を参照。

Centers for Disease Control and Prevention。
Hand Sanitizer Guidelines and Recommendations
2024年3月12日付。
消毒剤の使用方法と効果の限界を参照。

Centers for Disease Control and Prevention。
About Hand Hygiene in Schools and Early Care and Education Settings
2024年10月25日付。
子供の手洗いと消毒時の見守りを参照。

厚生労働省・経済産業省・消費者庁。
新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について
手洗い後の消毒の必要性と
手指用製品の選択について参照。

Crayola。
Which Crayola product do you recommend for face painting?
通常の画材と皮膚用製品の区別を参照。

資料とリンクの確認日 2026年10月14日。

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