自閉症にフラッシュバック現象(タイムスリップ現象)は存在するのか
私が自閉症スペクトラム障害児者のフラッシュバック現象の存在に疑問を感じるのは以下の点です。
- 研究論文が少ない
自閉症スペクトラム障害児者のフラッシュバック現象はもともと精神科医でもある杉山登志郎先生が提唱した概念です。杉山先生の論文がPubMedにあげられているだけで、他の研究者の論文はありません。 - 測定が明確にできない
フラッシュバック現象が起きたとしてもそれを他者が客観的な指標で測定する方法はありません。本人が「フラッシュバック現象があった」というか、家族が「以前に似たような場面でパニックが起こった」との報告で判断するしかありません。 - 他の問題行動と区別する必要がない
フラッシュバック現象があったとしても、それを他の泣く行動や攻撃行動と区別して考える必要はありません。対応がそれによって変わることがないからです。ですから、「フラッシュバック現象が起きているかどうか」ではなく、泣くといった問題行動が起きているかどうかが重視すべきです。
以上のことから、自閉症スペクトラム障害児者のフラッシュバック現象は存在するかわからない、そもそも存在しても他の問題行動と区別する必要はないということが私の見解です。