自閉症スペクトラム障害児が言語を獲得できない理由①(音声模倣能力の低さ)
自閉症スペクトラム障害が言語を獲得できない理由一つ目は音声模倣能力の低さです。
自閉症スペクトラム障害自体は知的障害が必ずしもあるとは規定されていません。
ですが、コミュニケーションの遅れ=発達検査で落ち込みが見られるということなので自閉症スペクトラム障害児は程度の差があれど知的障害が必ずあると言って構わないと思います。
知的障害が重度であると、定型発達児と同じように家族とのやり取りの中での言語の学習が難しいです。まずは定型発達児の言語獲得の原理を見ましょう。
このように定型発達児の子供は親が賞賛することが好子となって言語行動が強化されます。考えられる言語獲得のステップは以下の通りです。
このように最初は泣くことしかできません。ですが、ほめることを好子として言語行動が形成されます。行動はスモールステップで分化強化されますので段々と言語行動が上手くなります。最終的には自発的に言語で要求をしたり(ちょうだい、かして等)、他者と言語でコミュニケーションを取ります。これらの行動は自然強化されますので、親がほめることをやめても(好子がなくなる)行動が持続することになります。
一方、言語行動を獲得できない自閉症スペクトラム障害時の場合はこちらです。
まず、こちらが話しかけても模倣する能力がないため、好子による強化の機会がありません。ですから、途中で言語行動がストップしてしまいます。その場合の言語獲得のステップは以下の通りです。
このように音声模倣以降の課題に進めません。よって、いつまでも奇声をあげる、泣くといった行動を要求手段として使い続けます。これを解消するにはより細かなスモールステップにして言語行動を教え、それを要求場面で般化するように教えていく必要があります(自然強化が起きるようにする)。