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自閉症児が毎回同じ場所を選ぶ時に〜位置バイアス〜

今日は選択肢を出すと
毎回同じ場所を選ぶ子について解説します。

1.同じ場所を選んでいないかを見る

例えば学習で

  • 左に「りんご」。
  • 右に「みかん」。

のカードを置いて
「りんごどれ?」と聞いたとします。

毎回左側のカードを取るので
正解できているように見えます。

ですが、次は位置を逆にします。

  • 左に「みかん」。
  • 右に「りんご」。

と置いた時にも左側を取るのであれば
「りんご」を理解して選んでいるのではなく
左側にある物を取っている可能性があります。

このように物の内容ではなく
置かれている位置によって
反応が偏ることを
位置バイアスと呼びます。

自閉症や知的障害のある5名を
対象にしたBourretらの研究では
参加者全員に、左右どちらか一方を
選び続ける明確な位置バイアスが
確認されています。

2.学習では正解の位置を変える

学習課題では
この位置バイアスを気にする必要があります。

なぜなら、正解していても
内容を理解して選んだかどうかを
確認できないからです。

例えば「犬はどれ?」と聞いた時に
毎回犬のカードを左側に置いていれば
子供は左側を選ぶだけで正解できます。

これでは、犬という言葉を理解したか
確認できません。

そこで、カードの場所を変えます。

  • 1回目は、左に犬、右に猫。
  • 2回目は、左に猫、右に犬。
  • 3回目以降も、位置を固定せずに置く。

左右を交互にする等の
決まった順番にもならないようにします。

正解の場所を変えた時にも
同じ物を選べるかを確認します。

3.選択肢の数を増やす

選択肢を3つ、4つに増やして
実施する方法もあります。

選択肢が増えると
位置だけを頼りに正解し続けることが
難しくなります。

例えば「りんごどれ?」に対して

  • りんご。
  • みかん。
  • バナナ。
  • ぶどう。

の4つから選ばせます。

この時も、りんごの位置は毎回変えます。

選択肢を増やしても
正解がいつも同じ場所にあれば
その場所を選ぶだけで正解できます。

学習では、正解をどの位置に置いても
同じ物を選べることを目指します。

4.日常の選択は生活上困るかで考える

一方で、日常で食べ物や服を
本人に選ばせる場面では
位置の偏りを直すことが
必ず必要になるわけではありません。

例えば

  • 左に牛乳、右にお茶を置くと、左の牛乳を取る。
  • 位置を入れ替えると、今度も左のお茶を取る。

という場合です。

どちらでもよく、手を出しやすい方を
取っている可能性もあります。

ただし、同じ位置を選ぶことだけで
好みがないとは判断できません。

選んだ飲み物を実際に飲むか
嫌がらずに受け取っているかも見ます。

服も同じです。

赤い服と青い服のどちらを着ても
構わない子であれば
たまたま手を出しやすい方を
取ることがあります。

選んだ服を着て過ごせていて
生活上困っていないのであれば
位置の偏りを直す必要はありません。

反対に、位置を変えても
特定の食べ物や服を選ぶなら
その物への好みを確かめる
手がかりになります。

ですから、正解のある学習課題と
本人が選ぶ日常生活の場面は
分けて考えます。

今日のポイント

①学習で毎回同じ位置を選ぶ場合は、正解を理解していない可能性がある。

②学習では正解の場所を固定せず、取り組めるようになったら選択肢を増やす。

③食べ物や服の選択では、位置に偏っていても生活上困らなければ直すことを目標にしなくてよい。

参考文献

Jason C. Bourret、Brian A. Iwata、
Jill M. Harper、Stephen T. North 2012年。
Elimination of position-biased responding in individuals with autism and intellectual disabilities
Journal of Applied Behavior Analysis, 45(2), 241–250.
DOI 10.1901/jaba.2012.45-241。

W. Fisher、C. C. Piazza、L. G. Bowman、
L. P. Hagopian、J. C. Owens、I. Slevin 1992年。
A comparison of two approaches for identifying reinforcers for persons with severe and profound disabilities
Journal of Applied Behavior Analysis, 25(2), 491–498.
DOI 10.1901/jaba.1992.25-491。

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