自閉症児に自分で鼻を拭くことを教える

自閉症児へ家庭療育を行う時に
鼻水が出ていてもそのままにしていたり
手や袖で拭いてしまったり
することがあります。
鼻を拭く動作は比較的教えやすくても
鼻をかむことは子供の能力によっては
難しい場合があります。
鼻をかむには
鼻から息を出す必要があります。
子供に「ふんってやって」と伝えても
その言葉に合わせて
鼻から息を出せないことがあります。
鼻をかむことがまだ難しければ
家庭療育の目標としては
鼻水が垂れたら自分で拭くことから
始めればよいと思います。
今回は、自分で鼻水を拭くことの教え方と
鼻をかめない時に親が鼻水を取る方法を
説明します。
以下の教え方は
課題分析の考え方をもとにした
家庭療育としての私の提案です。
目次
1.どの動作で止まっているかを確認する
鼻を拭くことにも
複数の動作が含まれています。
- ティッシュを取ること。
- 鼻水が付いている部分に当てること。
- 鼻水を拭き取ること。
- 使ったティッシュを捨てること。
これらを分けて
どこまで一人でできるかを確認します。
複雑な行動を細かな動作に分けることを
課題分析といいます。
例えば、ティッシュを渡すと
鼻水を拭き取れる子供であれば
拭く動作はできています。
ティッシュの場所が分からないのか
箱から取り出すことが難しいのか
親が渡してくれるまで待っているのかを
実際の行動から確認します。
ティッシュで鼻を拭けても
鼻水が残っている場合は
当てる位置や拭き方を教えます。
2.ティッシュで鼻水を拭き取る動作を教える
拭く動作がまだ難しい場合は
最初は親がティッシュを用意し
子供に持ってもらいます。
親も別のティッシュを持ち
自分の鼻に当てて
拭く動作の見本を示します。
子供には、鼻の下など
鼻水が付いている部分に当て
軽くぬぐってもらいます。
この段階では
鼻から息を出すことまで求めず
外に出ている鼻水を
拭き取ることを教えます。
確認するのは
ティッシュを鼻に当てたかだけでなく
鼻水を拭き取れたかです。
頬に当てていたり
鼻水の部分にあたっていなければ
拭く場所を示します。
綺麗に鼻水を拭くことが難しい場合は
ウェットティッシュを
使用しても構いません。
3.ティッシュを取るところから自分で行う
ティッシュを渡せば拭けるようになったら
次は、自分で取るところから
行ってもらいます。
まずはティッシュを
子供の手が届く場所に置きます。
最初はティッシュの場所を指差し
取ることを促します。
取った後は
既にできる拭く動作を行ってもらいます。
自分で取り出せるようになったら
指差しをしなくても
取りに行けるかを確認します。
使ったティッシュを捨てる場所も
子供が分かるようにしておきます。
4.声掛けで拭けることと、自分で始めることを分ける
親が鼻を拭くように伝えると
ティッシュを取り、拭いて捨てられる。
ここまでできても
鼻水が出た時に自分から始めることは
まだ難しい場合があります。
その場合は
何をきっかけに動き始めているかを
確認します。
親の指示で始めるのか。
ティッシュを見せると始めるのか。
鼻水が出ると自分で始めるのか。
これらを分けて見ます。
拭く動作が身についてきたら
親がすぐに指示を出す前に
自分でティッシュへ手を伸ばすかを
短く確認します。
自分で始めなければ
必要な声掛けをして拭いてもらいます。
なかなか自分で鼻水が出ていることを
認識して自分から拭くことが難しい子は
親が声掛けして拭けたらよいです。
5.鼻をかめない時はティッシュスルスルで補助する
鼻をかめない時には
親がティッシュを使って
鼻水を取る方法もあります。
小児科医の橋本真理子氏が
鼻水スルスルとして
紹介している方法です。
ティッシュを細長い帯状に折り
上の方を親の人差し指と中指で挟みます。
短い端を人差し指に掛けるように折り返し
子供の鼻の穴の下に
そっと当てます。
もう片方の手で
手前にあるティッシュの端を
ゆっくり下へ引きます。
鼻の出口にある粘りのある鼻水が
ティッシュに付いて
引き出されることがあります。
ティッシュは鼻の中へ押し込まず
鼻の出口に当てて行います。
痛がったり嫌がって
顔を動かしたりする時は
無理に続けません。
この方法は
鼻をかめない子供の鼻水を
親が取るための補助として使います。
子供には垂れてきた鼻水を拭くことを教え
必要な部分は親が補います。
親が鼻水を取れたことと
子供が自分で拭けるようになったことは
分けて確認します。
自閉症児で感覚過敏などがある場合は
少しずつ慣らしていくようにしましょう。

実践例
例えば、鼻をかむように伝えても
鼻から息を出せませんが
ティッシュを渡すと
鼻水を拭き取れる子供がいるとします。
この場合は
鼻水が垂れた時に自分で拭くことを
練習します。
子供が取り出せる場所に
ティッシュを置きます。
鼻水が出た時に
親はティッシュを渡すところまで行わず
「鼻を吹いて」と言って
子供に取ってもらいます。
取れたら、自分で拭いてもらいます。
外に出ている鼻水を拭き取れたら
「自分で取って拭けたね」と短く褒め
使ったティッシュを捨ててもらいます。
鼻の出口に粘りのある鼻水が残り
自分では取りにくい場合は
親がティッシュスルスルで補います。
鼻をかむことがまだ難しくても
ティッシュを取って拭き
捨てるところまでを
子供が自分で行えるようにしていきます。
参考文献
Kate Szidon・Ellen Franzone。
Task Analysis: Steps for Implementation
National Professional Development Center on Autism Spectrum Disorders。
資料内の推奨引用年は2009年、版面表記は2010年10月。
動作の分け方と、習得状況に応じた指導の組み立てを参照。
橋本真理子。
小児科医も実践!鼻水がスルスル取れる小ワザ(鼻水スルスル)
小児科オンラインジャーナル。
2018年10月8日公開
メルマガをしています。





