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自閉症児が親の1回の指示で行動できるようにする方法

自閉症児が行動を始めない時に親は
「早くして」「何回言えば分かるの」
「まだなの」
と何度も声をかけることがあります。

朝の支度や着替え等では
親が何度も言わないと
子供が行動できない家庭も多いです。

しかし何度も声かけをすると
1回目の指示に反応しない行動が
強まりやすくなります。

これは目覚まし時計の
スヌーズ機能と似ています。

目覚ましが何度も鳴るように設定すると
最初のアラームでは起きず
次のアラームを待つようになります。

親の声かけでも同じです。

  1. 最初の指示では動かない。
  2. 2回目も動かない。
  3. 親が怒鳴ってから動く。
  4. 最終的には親が手伝う。

という流れが続くと子供は1回目の指示に
反応しなくなりやすいです。

ABAでは子供が行動しない時に

  • 子供が指示を理解していないのか。
  • 指示を理解していても反応しないのか。
  • 親の声かけが何回目で行動が始まるのか。
  • 親が手伝うことを待つ形になっていないか。

を確認します。

大切なのは何度も言って
子供を動かすことではありません。

1回の指示に反応して、
必要な行動を始められる形を
作ることです。

大前提として
自閉症児に指示を理解させるため

  • 子供が親の顔を見てから指示を出す→アイコンタクトが難しい場合は先に改善する必要がある
  • 復唱できる子は復唱させる→指示を聞き取れているか確認できる

のルールを守って指示を出しましょう。

1.何度も声かけをすると1回目の指示に対する反応が弱くなる

例えば朝の着替えで

  1. 親が「着替えて」と言う。
  2. 子供は遊びを続ける。
  3. 親がもう一度「着替えて」と言う。
  4. 子供は親の顔を見る。
  5. 親が「早くして」と言う。
  6. 子供が少しだけ動く。
  7. 親が待てずに服を着せる。

という流れがあるとします。

この場合最初の指示に従わなくても
次の声かけがあるため親が怒り始めたら
行動するようになります。

怒鳴られてから行動する場合は
怒鳴っても行動しない時は厳しく
注意されるからである可能性が高いです。

2.1回の指示で求める行動を一つにする

  • 「朝の準備をして」
  • 「着替えて」
  • 「宿題をやって」
  • 「片づけて」

という言葉には、
複数の行動が入っています。

例えば着替えには、

  1. 服の収納場所に行く。
  2. 服を選ぶ。
  3. パンツを履く。
  4. 下着を履く
  5. ズボンを履く。
  6. 上の服を着る。
  7. 靴下を履く
  8. 脱いだ服を持つ
  9. 洗濯機に入れる

といった行動が組み合わさっています。

この全てを一度に求めると
難易度が非常に高くなってしまいます。

最初は子供が一人でする行動を
一つだけ決めます。

例えばまずは子供がズボンを履くことだけ
を求めます。

という形にします。

できなかった時だけ親が手伝う形ではなく最初から親が行う部分を決めておくこと
が大切です。

3.離れた場所から音声指示を出さない

子供が遊んでいる部屋に向けて
親が別の部屋から「着替えて」「片づけて」「宿題をやって」
と声をかけることがあります。

しかし親が近くにいない状態では、
子供が指示に従う可能性は低くなります。

  1. 聞こえていても子供は行動せず遊びを続ける
  2. 親はもう一度声をかける。
  3. 子供は行動する

という流れが続くと音声指示に対する
反応率が下がりやすくなります。

初期では音声指示を出す時は
子供のすぐ近くまで行きます。

その上で

  • 「ズボンを履いて」
  • 「プリントを机に出して」
  • 「ブロックを箱に入れて」

等の指示を出します。

子供が即座に行動できない場合は
同じ指示を何度も繰り返しません。

すぐに身体プロンプトを使います。

身体プロンプトとは
大人が必要な部分だけ手を添えて
行動を始めさせる支援です。

ズボンを履く場合では子供の手を持ってズボンを持たせるのように手伝います。

指示を出されたらすぐに行動するという
ルールを統一するのです。

すぐ近くでの指示に従うことができるよう
なってきたら段々と離れた位置で親の指示
を出すようにします。

4.絵カード等の視覚支援を安易に増やさない

子供が指示に従わない時に、

  • 絵カードを見せる。
  • 手順表を貼る。
  • 写真カードを増やす。

等の支援が提案されることが多いです。

視覚支援は有効なこともありますが
それは子供が意図的に指示を無視している
訳ではない場合に限られます。

子供が指示が聞こえているにも関わらず
行動しない場合は絵カードを増やしても
音声指示に反応しないことは
改善されません。

さらに視覚支援を使う場合は
基本的にフェイディングを考えなければ
なりません。

フェイディングとは徐々にヒントを
減らしていく手続きのことです。

一度使用した絵カードを段々と
減らしていくことは手間も時間も
かかります。

よって最初から使わないということも
選択肢に入れるべきです。

5.行動が始まったらほめる

子供が行動を始めた時は
終わるまで待ってから
ほめる必要はありません。

行動の途中からほめ始めます。

例えばズボンを履く時は足を入れた時に
「そうだよ」と褒めます。

行動の途中からほめることで
子供は行動を続けやすくなります。

これは子供を喜ばせるためというよりは
その行動があっていることを伝える意味が
大きいです。

まだ自分のしている行動に自信がない場合
途中で子供が止まることも多いので
このように「その行動であってるよ」と
伝えるだけでも行動はスムーズに
いきやすいのです。

ただしこれはずっと使う方法ではなく
子供が行動を覚えた場合は行動が終わって
「できた」と報告するまでは親は黙って
見守る形になります。

そうしないと子供は親に褒めてもらうまで
行動が止まったり親の顔を見て
確認しようとしたりするため
一人で行動することに支障が出ます。

6.音声指示で行う行動と親が手伝う行動を分ける

子供に一人でさせる行動と親が手伝う行動
を一日の中で分けます。

まだ親が手伝わないとできない行動は
音声指示だけで子供にさせようと
してはいけません。

親が一緒に行います。

一方で子供が一人でできる行動は、
音声指示を一度出して自分で行わせます。

例えば着替えなら、

  1. 親がパンツを履かせる。
  2. 親が下着を履かせる。
  3. 親が上の服を着せる。
  4. 親が「ズボンを履いて」と言う。
  5. 子供がズボンを履く。

という形にします。

子供が一人でできる部分は毎日同じように
行動させ
親がする部分は最初から親が行います。

できなかった時だけ親が手伝う形にすると子供は困った時に行動を止め親のヘルプを
待つ行動が増えやすくなります。

子供が一人でする部分を
安定してできるようになってから
次の行動を一つだけ加えます。

研究によってどちらの効果が高いとは
結論が出ていませんが
私は行動の後ろから習慣化していく方が
やりやすいと思います。

よってズボンを履くことが習慣化したら
次に上着を切ることを教えていきます。

実践例

食事が終わっても自分で使った食器を
流しへ運ばない子の場合です。

これまでは親が食後に
「食べ終わったら持ってきて」
「流しに置いて」
「まだ持ってこないの?」
と何度も声をかけていました。

子供は最初の声かけでは動かず
親が強い声で言うと動くことが
ありました。

最終的には親が片付け忘れた食器を
片づける日もありました。

この形では

  • 最初の指示では動かない。
  • 親の声が強くなったら動く。
  • 食器を片付け忘れることがある。
  • できない日は親が片づける。

という流れが続きやすくなります。

そこで食後の片づけを親がする部分と
子供がする部分に分けます。

親は食器や箸を片づけ子供は
自分のコップだけを流しへ持って行く
このように決めます。

親は子供の近くへ行き
「コップを流しに置いて」
と一度だけ伝えます。

子供が即座に動かない時は
同じ指示を繰り返さず子供を立たせて
コップを渡します。

流しへ歩き始めた時に「そうだよ」
と行動の途中からほめます。

最初から全ての食器を下げることを一人で求める必要はありません。

コップを流しへ置くことが
一度の指示でできるようになってから

  • 自分の箸を運ぶ。
  • 自分の皿を運ぶ。
  • 食べた後、ウェットティッシュで机を拭く

というように
一つずつ行動を加えます。

  1. 親が遠くから何度も言うよりも子供の近くで一度伝える。
  2. 始まらなければすぐに身体プロンプトを使う。
  3. 行動が始まったら即座にほめる。

この流れを繰り返すことで子供が音声指示
に反応して即座に行動を始める経験を
増やしていきます。

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