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自閉症児の困った行動を数字で記録する意味

自閉症児の癇癪や不適切行動が続くと
「最近すごく増えた」
「前よりひどくなった」
「毎日同じことで困っている」
と感じることがあります。

しかし実際には行動が増えているのか
一回の行動が長くなっているのか
特定の場面だけで起きているのか
気のせいなのか記録をしないと
分からないことが多いです。

ABAでは子供の困った行動を
印象だけで判断しません。

  • 何回起きたのか。
  • 何分続いたのか。
  • どの場面で起きたのか。
  • 行動の後に何が起きたのか。

を記録して支援の必要性や方法の整合性を
確認します。

記録は子供を評価するためだけのものでは
ありません。

子供ができるようになるために
どう支援するべきかを見つけるため
のものです。

1.記録をしないと適切行動が増えたか分からない

例えば子供がスマホを要求時に癇癪を
起こすとします。

親は「毎日スマホの要求で癇癪を起こす」
と感じるかもしれません。

しかし実際に記録してみると

月曜日は要求しなかった。
火曜日は言葉で要求したので渡した。
水曜日は言葉での要求を断ったら癇癪を起こした。その後しばらく怒っていたが落ち着いてから渡した
木曜日は父親に指差しで要求して借りていた。
金曜日はテレビを見ていて要求をしなかった。

とします。

この場合、要求時に癇癪を使うというより

  • 言葉で要求できることがほとんど
  • 要求を断られると癇癪が出る
  • 父親に対しては言葉を使わないことがある
  • そもそもスマホを使わない日もある

といった見方が正しいかもしれません。

記録をしないといつもスマホに依存して
癇癪で要求する印象だけが残ります。

スマホを使わなかった日や言葉で要求
できた日は見逃されやすいです。

支援では問題行動が起きた日だけを
気にするのではなく問題行動が起きなかった日も記録することが大切です。

2.「困った行動」を数えられる形にする

「癇癪がひどい」「落ち着きがない」
「全然話を聞かない」という言い方では
行動を記録することができません。

何を数えるのかを先に決めます。

例えば癇癪なら、

  • 大声で泣く。
  • 床に寝転ぶ。
  • 物を投げる。
  • 親を叩く。
  • 部屋から出る。

というように実際に観察できる行動を
想定して観察します。

宿題をしない場合も

  • 宿題を終わるまでに何分かかるか
  • 正答率はどれくらいか。
  • 一回に何問解けるか。
  • 親の声かけが何回必要か。
  • 親が近くで身守らなくても一人でできるか

等を記録します。

例えば宿題を始めるまでに30分かかった
ではなく宿題を机に出してから最初の一問を解くまでに30分かかったと決めます。

このようにすると何を減らしたいのか
何ができるようになったのか
が分かりやすくなります。

3.目的によって記録する数字を変える

行動によって見るべき数字は違います。

癇癪や暴言のように回数を減らしたい時は
回数を記録します。

  • 大声を出した回数。
  • 物を投げた回数。
  • 親を叩いた回数。

ただしすぐに何回も繰り返すような場合は
癇癪が落ち着くまでを1回としてカウント
した方がよくなります。

一方で行動の長さが問題の場合は
継続時間を記録します。

例えば

  • 泣き始めてから落ち着くまでの時間。
  • 机に座っていられる時間。
  • 着替えが終わるまでの時間。

このように時間を短くしたい、長くしたい
場合に時間を記録します。

注意点としては癇癪の持続時間は親が対応
するかしないかといった状況によって
落ち着くまでの時間が全く変わります。

手伝って短時間で落ち着けることよりも
長時間でも子供一人で落ち着けることの方
が能力としては上です。

4.行動の前後も一緒に記録する

行動の回数だけではなぜ起きているのかが
分からないことがあります。

そのため

  • 行動の前に何があったか。
  • 子供が何をしたか。
  • その後に何があったか。

も一緒に見ます。全て具体的な行動を
記述することを目指しましょう。

例えばゲームを終える時に毎回大声を出す
子の場合です。

記録は

  • きっかけ→ゲーム終了の予告をした。
  • 行動→子供が大声を出した。
  • 結果→親がゲーム時間を
    10分延長した。

という形になります。

これが続くと大声を出す→ ゲーム時間延長
という流れを子供が学習する可能性が
あります。

一方で、

  • ゲーム終了の予告をした。
  • 子供が大声を出した。
  • 親は時間を延長せず次の予定を短く伝えた。
  • 子供が3分後に端末を机に置いた。

という記録なら時間を延長しなくても
切り替えられる可能性が見えてきます。

行動の前後を見ることで

  • 何がきっかけか
  • 親の対応で原因か
  • 次に何を変えるべきか。

を考えられるようになります。

5.記録をもとに支援を変える

記録の目的は支援方法を変えることです。

例えば宿題を始めるまでに毎日20分以上
かかる子がいるとします。

記録してみると、

  • 帰宅後すぐは始められない。
  • おやつの後なら始められる。
  • 計算なら始められる。
  • 漢字から始めると止まる。
  • 親が横にいると親に話しかけ続ける。

ということが分かったとします。

この場合「集中力がない」と考えるのでは
なく帰宅後すぐは休憩を入れる。

  • 最初は計算3問から始める。
  • 漢字は後に回す。
  • 親は横に座らず終わったら確認する。

という形に変えられます。

支援を変えた後も、

  • 宿題開始までの時間が20分から10分になったか。
  • 計算3問なら自分で始められるか。
  • 漢字に入った時に止まるか。

を記録します。

記録があると支援が効果的だったかを
確認できます。

6.毎日完璧に記録する必要はない

記録は大切ですが親が疲れ切るほど
細かくする必要はありません。

一番変えたい行動を一つだけ選んで
重点的に記録します。

あとは

  • 親が記録しやすい時間
  • 問題行動が起きやすい時間
  • 適切行動が起きやすい時間

が記録しやすいのでこの基準で一部分だけ
記録を取るようにします。

  • 食後30分後に限り癇癪を観察する
  • 一緒にお風呂に入っている時の独り言の回数
  • スマホの使用が終わる時に癇癪が起きるかどうか

このように一つだけにします。

重要なのは断続的にでも記録を続けて
行動が改善しているか確認することです。

実践例

食事の開始時に遊びをやめられない子の
場合です。

親は「食事の時間になっても毎回遊びをやめられない」と感じていました。

そこで一週間次のことを記録しました。

  • 食事の何分前に遊びの終了を伝えたか。
  • 食事を伝えてから椅子に座るまでの時間。
  • 遊びをやめる時に泣いたり怒ったりしたか→それに対する親の対応
  • 泣いた場合は何分続いたか。
  • 親が食事の開始時間を
    遅らせたか。

すると、

  • 急に食事を伝えた日は遊びをやめられずに怒る。
  • 食事の10分前に伝えた日は少し不満を言っても遊びを終えられる。
  • 遊びを終えた直後に食卓へ行くと嫌がる。
  • 遊びを終えた後に少し時間を置くとスムーズに食卓につける。
  • 親が怒らずに遊びをやめられたことを褒めると自分から報告してくるようになった。

といったことが分かりました。

そこで

  • 食事の10分前に遊びの終了を伝える。
  • スムーズに遊びを終了できたら親が褒める
  • 遊びを終了して5分経ってから着席の声掛けをする

のサポートをすると行動の切り替え時の
癇癪はほとんど起きなくなりました。

このように観察することにより行動改善の
ヒントを得て実践していくことを繰り返す
ことで自閉症児の日々の生活が安定し
親の負担も減ることが望ましいです。

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