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自閉症へのオキシトシンの有効性(最新研究から)

自閉症スペクトラム障害児に対して
かつては愛情ホルモンとして
社会的コミュニケーション障害を
改善する特効薬になるのではと
大きな期待が寄せられました。

2024年の論文を解説します。

統計論文ですが
自閉症の社会的行動やこだわり行動に対し
オキシトシンが誰にでも明確に効く
確かな証拠は見つからなかったと
説明しています。

これまで「効果あり」という研究と「効果なし」という研究が混在していましたが
最新の方法で厳密に分析した結果
その効果は非常に小さいかほぼ無い可能性
が高いことが示されました。

1.分析から分かった詳しいこと

この研究では、オキシトシンの効果を
「社会的行動」と「こだわり行動」
の2つの側面に分けて分析しました。

① 社会的行動への効果

  • 少しだけ効果があるかもしれないという結果が出た
  • 詳しく調べると良い結果が出た研究
    ばかりが発表されやすい
    出版バイアスの問題が見つかった
  • このバイアスの影響を取り除いて
    再計算すると、効果はさらに小さくなりった
  • 別の統計的なベイズ分析では
    効果はないという方があるというより可能性が高いという結果になった
  • 社会的行動への明確な効果は
    確認されなかった

② こだわり行動への効果

  • 最初から統計的に意味のある効果は
    見られなかった
  • 分析を進めると投与する期間が
    長期になると効果が強まる可能性が
    少しだけあった
  • 現状では効果があるとは言えないが
    長期的な使用についてはさらなる
    研究が求められる

2.研究自体の問題点

この論文はオキシトシン研究が抱える
根本的な問題点も指摘しています。

  • ほとんどの研究が小規模
    多くの研究は参加者の数が少なく
    統計的価値が低い。
  • 研究ごとにやり方がバラバラ
    オキシトシンの量、投与期間、
    参加者の年齢等が研究ごとに異なり
    結果に一貫性が出にくかった

このように研究実施方法自体の問題も
ありますが課題に期待はしないほうが
良さそうです。

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