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自閉症の自傷に関する最新研究

自閉症スペクトラム障害等の発達障害児は
激しい自傷をすることがあります。

これらはなぜ起こるのでしょうか。

最新研究をまとめました。

1.概要とリスクの高さ

自傷行動とは頭を叩く、自分の体を噛む、叩く、皮膚を掻きむしるなどの行為を
指します。

最新の研究によると、ASDのある人は、
そうでない人と比べて意図的な自傷行為
のリスクが65%高いことが
報告されています。

特に注意欠如・多動症(ADHD)や
知的障害を併発している場合そのリスクは
170%にまで上昇します

この行動は単なる困った行動ではなく、
大抵何らかの機能や目的を持っています。

例えば
不快な状況からの逃避、要求の伝達、
感覚的刺激の調整などが挙げられます 。

2.原因と機能に関する最新の知見

自傷行動の原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。近年の研究では、以下の点が注目されています。

  • 神経生物学的な要因: 研究者たちは、特定の脳の構造や回路が自傷行動に関連している可能性を探っています。
    例えば、脳の報酬系の一部である「側坐核」への深部脳刺激(DBS)が、重度の自傷行動を減少させる可能性を示唆する予備的な研究結果も出ています 。
    これは、自傷行動の背景に脳機能の不均衡がある可能性を示しています。
  • コミュニケーションの手段:
    言語でのコミュニケーションに困難
    を抱えるASDの人が欲求不満、痛み、不安、感覚過負荷等を表現する
    ために自傷行動に及ぶことがあります 。
    言葉で「助けて」と言う代わりに、行動でサインを発していると理解することが重要です。
  • 感情や感覚の調節: 不安やストレスなどの強い感情、あるいは耐えがたい感覚過負荷(大きな音や強い光等)を経験した際に、その不快感を和らげ、自分を落ち着かせるために自傷行動が用いられることがあります。
    痛みによって、コントロールが難しい他の感覚から意識をそらすという側面です 。
  • 併存疾患との関連: 不安障害や睡眠障害、消化器系の問題といった医学的な問題が、不快感や痛みを通じて自傷行動の引き金になることが指摘されています 。

3.参考文献

(1) Inj Epidemiol. (2025).
(2) Effective Interventions in the Treatment of Self-Harming Behavior in Children and Adolescents with Autism Spectrum Disorder: A Review. Children
(3) Deep Brain Stimulation of the Nucleus Accumbens for Severe Self-Injurious Behavior in Children: A Phase I Pilot Trial. Biological Psychiatry.
(4) Self-harm and autism: Hunting for clues about the challenging behavior.

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