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自閉症児の感覚過敏の原因は?

自閉症スペクトラム障害等の発達障害児は
感覚過敏を持つことがあります。

なぜ起こるかを論文を元にまとめました。

なぜASDのある人に感覚過敏が見られるのか、その神経学的なメカニズムについて、いくつかの仮説が論文で示されています。

1. 脳の「フィルター機能」の問題

人間の脳は日常的に入ってくる膨大な感覚情報の中から、必要な情報だけを選び出し、不要な情報を無視する「フィルター」のような機能を持っています。

しかし
自閉症児の脳では、このフィルター機能が
うまく働かず、あらゆる感覚情報が同等の強さで脳に流れ込んでしまうのではないかと考えられています。

その結果、情報過多に陥り、パニックや
強いストレスを引き起こします。

2. 脳領域間の連携の問題

感覚情報を処理する脳の各領域と、
それらの情報を統合して感情や行動をコントロールする領域との間の神経ネットワークの連携に違いがあることが指摘されています。

特に、不安や恐怖を感じる「扁桃体」が過剰に活動しやすいことが分かっており、通常では脅威とみなされないような感覚刺激に対しても、強い不安や恐怖を感じてしまうことがあります。

ただし、感覚過敏は変化することがありえます。

以前は問題なかった刺激に対して嫌悪反応を示したり癇癪が強まったりすることです。

これは生来の刺激の弱さだけではなく
こだわりによって自分が好ましい刺激だけを取り入れようとすることが関連していると考えられます。

いずれにせよ
日常生活に支障が出る場合は改善を目指した方がいいでしょう。

参考文献

  1. Leekam, S. R., Nieto, C., Libby, S. J., Wing, L., & Gould, J. (2007). Describing the sensory abnormalities of children and adults with autism. Journal of Autism and Developmental Disorders, 37(5), 894-910.
  2. Gomot, M., & Wicker, B. (2012). A challenging world for people with autism: the sensory atypicality. Frontiers in Integrative Neuroscience, 6, 7.
  3. Green, S. A., Hernandez, L., Bookheimer, S. Y., & Dapretto, M. (2016). Salience network connectivity in autism is related to social deficits and sensory behaviors. Molecular Autism, 7(1), 32.

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