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自閉症児の歯磨きはどうしたらよい?暴れる場合の対応は?

(出典:PhotoAC

  自閉症スペクトラム障害児の保護者にとって、子供に歯ブラシをすることは大きな困難があることがあります。例えば、

  • 歯ブラシを見せると逃げる
  • 体をばたばたと動かす
  • 大声で叫ぶ
  • 歯ブラシを噛む

といった問題行動が出現します。どのように対応したらよいでしょうか。順番に説明していきます。

自閉症児本人に歯磨きをさせるべきか

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 自閉症児本人に歯磨きを教えたほうが良いのでしょうか?最終的には一人で歯ブラシができるようにしたほうがよいのは当然ですが、最初から一人で磨き残しがないように磨かせるのは至難の業です。ですから、親の仕上げ磨きに対して一切暴れなくなるまでは、自閉症児本人に歯磨きをさせる練習をする必要はないでしょう。

なぜ自閉症児が歯磨きで暴れるか

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 そもそも、自閉症児はなぜ暴れるのでしょうか。それは以下の理由が考えられます。

 多いのは、口の中に過敏があり歯を磨かれること自体に大きな抵抗を見せることです。2、3の理由の場合は親の指示に従うことを練習できればさほど問題なく改善できます(コンプライアンストレーニング)。今日は口の中に過敏があり、嫌がる自閉症児に対しての対応を説明していきます。

自閉症児で親の歯磨きの練習が必要なケースは

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 自閉症児に親の歯磨き練習が必要なのはどのような場合でしょうか。以下のようなケースです。

 このように、抵抗が激しい場合、抵抗が激しくなっている場合は練習をしたほうが良いです。反対に、最初は子供の抵抗があったけれど、徐々に減っていっている場合は問題がありません。ほとんどの子供は最初は親の仕上げ磨きを嫌がり大声で泣きますが、段々と泣くことが減っていくようになります。

NGとなる親の歯磨き方法

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 NGとなる子供への親の歯磨き方法は以下の通りです。

 これらは、全て自閉症児の歯磨きに対する抵抗を強める対応となりますので注意しましょう。

自閉症児の歯磨き練習法

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 実際に自閉症に対しての親の歯磨き方法を解説していきます。まず、歯磨きは2種類に分けて実施する必要があります。

  1. 毎日の歯磨き
    毎日、歯磨きをしなければ子供はすぐに虫歯になってしまいます。ですから、悠長に歯磨きの練習をすることはできません。毎日歯磨きをする必要があります。
  2. 子供を歯磨きに慣れさせる
    1では、毎日必ず保護者が子供に歯磨きをしますが、それだけだと歯磨きをされることへの抵抗が減らせないです。ですから、歯磨きに慣れさせる練習が必要です。

 順番に解説していきます。

抵抗がある自閉症児に対する毎日の歯磨き方法

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 まずは、毎日の自閉症児に対する親の歯磨き方法を解説していきます。この段階のポイントは、以下に暴れないようにしてしっかりと磨けるかがポイントになります。

1.子供には一切予告せず体を押さえる
 前述の通り、歯ブラシを見せたり、「歯磨きするよ」と子供に伝えたりすると子供の抵抗が増します。ですから、何も言わずに体を押さえてしまいます。体を押さえるのは、抵抗が激しい場合は、両親そろって実施するほうが良いです。特にお母さんだけだと子供の体重によっては押さえることが難しいことがあります。体の押さえ方ですが、ポイントは①絶対に子供が怪我をしないこと②体を動かないようにすることです。一番のおすすめは以下のような形で体を押さえてしまうことです。

 このように、親の股の間に挟んで、腕を押さえてしまう方法は子供の抵抗が減り、また、親が子供に体重をかけるわけではないので安全です。両親で実施する場合は、一人が足を動かせないように押さえてしまうことで抵抗が減らせます。このように体をしっかりと押さえるようになると体を動かしたりといった抵抗は徐々に減っていきます。ですが、泣くことは減らない可能性がありますので注意が必要です。

2.口を閉じずに歯磨きをする
 子供が歯ブラシを噛む抵抗をなくすために、まずは口をあけっぱなしにできるような器具を使用します。安全にできるのはオーラルバイトです。

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  オーラルバイトは、口に入れて噛ませることで、口を開け続けることが可能になります。

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 このように、スポンジ状の物を口に入れることで使用します。オーラルバイトで口を開けている間に歯を磨いてしまいましょう。子供であれば、オーラルバイトはスリムでよいです。

3.できるだけ子供がリラックスできる環境で
 親が子供に歯磨きをしている時は、YouTubeをつける、テレビをつける、歌を歌う等子供ができるだけ喜ぶような環境で実施してあげましょう。

抵抗がある自閉症児を歯磨きに慣れさせる方法

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  では、自閉症児に親が歯磨きをする時に暴れる行動を減らしていく方法を解説します。方法としては、慣れさせる訓練を実施していきます。この方法での注意点は以下の通りです。

 このように、歯磨きの動作をスモールステップにして少しずつ歯磨きに慣れさせていきます。この場合、歯磨きの練習で泣いたり抵抗しなかったらお菓子等のご褒美を上げてもよいですが、できるだけ使わないほうが良いです。なぜなら、ご褒美を使うとご褒美に飽きた瞬間に歯磨きの練習を拒否するようになる可能性があるからです。では実際のステップを見ていきましょう。

 このように、徐々に歯磨きに慣らしていき、最終的にフロスをしても抵抗がなくなったら全く問題ありません。そうしたら今度は子供自身が歯磨きできるように教えていきましょう。個人差はありますが、毎日練習すれば、大体2~3か月で克服できるようになります。

まとめ

(出典:PhotoAC

 自閉症児は偏食が多く、歯の掃除ができる生野菜等が好きな子供は少ないです。また、口の中にいろいろなものを入れる癖がある子供も多く、虫歯になりやすい環境にあるといえるでしょう。親の歯磨きになれることをゴールにするのではなく、定期的な歯科検診で暴れなくなることをゴールにするとよいです。歯は一生ものなので子供に対する親の歯磨きに困難が生じた時点で早めに対応して行きましょう。

 

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