うちの子自閉症?1歳半検査で指差しが重視されるのはなぜか
1歳半検診で「指差しはしていますか」という問診が必ずと言っていい程実施されます。これはなぜでしょうか。実は自閉症スペクトラム障害の検査項目でもあるのです。順番に見ていきましょう。
目次
指差しは共同注視のチェック
指差しが出現していると、ある能力を有している可能性が高いです。それは、共同注意(きょうどうちゅうい)(joint attention)と呼ばれる能力です。共同注意とは、
アイコンタクトは2人の間の主に目を中心として行われるものですが、共同注意とは「…人と物をかわるがわる見て、その人と一緒に何かに注意を向けること。この行動によって、他者の注意を特定の物やできごとに向ける。普通は生後12か月~24か月頃に身に付く」(発達障害辞典より抜粋)
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共同注意の例としては
- 「ブーブー」と言って車を指さす
- 「あれ」と高いところにあるおもちゃを指さして親にとってもらう
- 本を読みながら特定の物を指さして親に名前を言ってもらう
- 大人が見ている物を子供が自然に見る
等が挙げられます。
このように物を大人に見せるというのも共同注意の一つです。共同注意を説明する際に、二項関係と三項関係と説明されることもあります。2人の人間間でのアイコンタクトが二項関係で2人の人間が異なる何かに注目を向けるという意味で三項関係と言われます。
共同注意の発達段階
共同注意は次のように発達するとされています。
このように、段々と二項関係から三項関係に変わっていくとされています。
なぜ指差しが自閉症検査の一つになるか
自閉症スペクトラム障害児は生まれつき、他者とのアイコンタクトが乏しいことが特徴です。詳しくは以下の記事を参照してください。
自閉症スペクトラム障害児の場合、二項関係であるアイコンタクトができないため、当然三項関係である共同注意はできないことがほとんどです。ですから、指差しができない=他者とアイコンタクトができないとみなされてしまうのです。反対に言うと、アイコンタクトがしっかりとできる子供が成長して発達すれば、共同注意ができないことはほとんどありません。
検診の指差しチェックの問題点
子供の指差しチェックによる検査は一見、検診において有効な自閉症スペクトラム障害スクリーニング方法のように思いますが、以下の問題点があります。
- 物の名前がわからない場合は実施が難しいこと
検査者がその場で子供をチェックする場合、「鳥はどれ?」といった聞き方で実施するが多いです。ですが、そもそも鳥が分からなかったから指差しをしないのではなく、答えが分からないから指差しをしない可能性が高いです。私の子供も1歳半検診で「わんわんはどれ?」と聞かれ、指指しができなかったらチェックが入りました。後で確認したのですが、「犬はどれ?」と聞いた場合は、指差しがしっかりとできていました。 - 指差しの手を作ることが難しい場合があること
指差しの手を作るスキルは微細運動になるので、指差しする気持ちはあったとしても指差しができず、パーの手で指すことがあります。
このような崩れた指差しの形になるのが、微細運動がまだできない子供の指差しの特徴です。
指差しに変わるチェック方法
指差しは、前述の通り有効なチェック方法として機能しないことがあります。上述の通り、アイコンタクトができると機能としての共同注意はできるので自発的なアイコンタクトをチェックすることがお勧めです。
このように、子供が遊んでいる物を意地悪していったん取り上げた時に「こっち見て」と言わないでも大人の顔を見てこれるようであればアイコンタクトは問題なくできます(物を大人の目の前に持ってくることはしてはいけません)。この時に
- 大人の目を見ずに大人の手から物を力づくで取り上げようとすることに終始してしまう
- 泣きわめくが大人の顔を見ない
という行動が出現した場合は、アイコンタクトが苦手で自閉症と診断される可能性が高くなるでしょう。特に自閉症に特徴的な行動としてアイコンタクトの代わりにクレーン現象を使用するということが挙げられます。
このように、大人の手を引っ張るけれどまったく大人の目を見ないという場合は、アイコンタクトが乏しい可能性が高いです。
指差し(共同注意)は学習で獲得が可能
指差しによる共同注意は学習により獲得することが可能です。トレーニング前にはアイコンタクトができなかった子供でも
アイコンタクトができるようになってから教えると
このように指差しをして第三の物を指差しして大人の問いに答えることができるようになります。共同注意がしっかりとできていることが分かります。
まとめ
検診でよく使われる指差しでの自閉症検査ですが、指差しができないから自閉症と診断される訳ではありません。また同様に、指差しができるから自閉症と診断されない訳でもありません。ですが、一つの自閉症早期発見のヒントになっているのは紛れもない事実です。指差しができない場合は、アイコンタクトのチェック等でその他の異常がないかをチェックしましょう。早期発見して、問題行動に早期対応することが理想です。