ブログ

自閉症スペクトラム障害児のトイレトレーニング

https://www.photo-ac.com/main/detail/1460709?title=%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC

 自閉症スペクトラム障害の子供のトイレトレーニングはなかなか進まずに親もイライラすることが多いと思います。無理なくトイレトレーニングを実施するにはどうすればよいでしょうか。順番に見ていきましょう。大体3か月ぐらいで完了します。

トイレトレーニングはいつ開始できるか

 そもそもトイレトレーニングをいつ開始できるか決まっているのでしょうか?専門書を見ると具体的には書いてありません。

  • 排泄間隔が〇時間空いたら→ちょこちょこおしっこを出すこともあるので参考にできない
  • おしっこを自分で訴えられたら→言葉がない子供ではいつまでもできないということになる
  • おしっこをする感覚が子供にわかったら→具体的な行動ではないので明確ではない。

 自閉症スペクトラム障害の子供が開始できる時期は以下の行動ができたらで構いません。

  1. おまるに子供が一人で座ることができるようになってから
    おまるに子供が一人で座らせることができないと実施することが難しいです。着座姿勢が保持できるかを確認しましょう。
  2. おまるに着座させても癇癪が起きない
    おまるに座らせると怒るような子供であれば、トイレトレーニングができないです。そのような場合は、まず着席練習をしてからトイレトレーニングに臨みましょう。
  3. 朝起きたらおむつが濡れていない日がある
    これは必須条件ではありませんが、朝起きた時におむつが濡れていない日がある子供のほうがトイレトレーニングが実施しやすいです。

 以上の条件がそろえば、1歳代から開始しても全く問題ありません。

トイレでの排泄の種類

 トイレはおしっことうんちがあります。ここでのトイレトレーニングはまずうおしっこに関して行います。そのうえで、トイレでの排泄は2種類に大別できます。

  1. 時間排泄
     タイマー等を使用して時間毎にトイレへ連れていくと毎回おしっこが出る排泄方法です。大人が定期的にトイレへ誘導すれば子供がおもらしすることはないです。
  2. 自発排泄
     トイレに行きたいと子供が大人に訴えてからトイレに行く排泄方法です。この方法ですと大人が声かけをしなくても子供が自分からトイレに行くことを要求することができるのでおもらしをすることが原則なくなります。

 一見、自発排泄にならないと実用性が低いように思えますがそんなことはありません。

トイレトレーニングの準備物

 トイレトレーニングで準備すべきものはさほど多くありません。

  1. おまる
     おまるは必須です。トイレトレーニングはおまるをメインにして実施していきます。長時間座っても疲れないようなおまるを選んだほうが良いです。お勧めは「ベビーレーベル おまるでステップ」です。

 下のスペーサーでの高さ調整が容易ですので使いやすいです。また、トイレでも補助便座として使用できるのでこれ一台でトイレトレーニング終了までカバーできます。

2.タイマー
 タイマーが必要になります。タイマーは2種類必要です。スマホ等のタイマーでもよいですが、長時間の使用になるとその間スマホを使用できなくなったりするため、個別に買ったほうが良いでしょう。2つのうち1つのタイマーは1秒単位で設定できるものを購入します。

 ですからこのようなタイマーはダメです。

 このような1秒単位で設定できるものを選びましょう。

 もう一つのタイマーは秒単位で設定できなくてもよいですが2時間ぐらいまで時間が延長できるものを買います。

3.ご褒美(好子)
 トイレトレーニングはご褒美があったほうが習得が早くなります。お菓子やビデオ等の好子を用意します。好子は可能な限り種類が多いほうがよいです。小分けのお菓子をたくさん用意してせんべいなどの缶に入れて用意します。

 このように、小分けになっているお菓子をたくさん買って用意しておくとよいでしょう。

  • ゼリー
  • チョコレート
  • ラムネ
  • クッキー
  • せんべい

等いろいろなジャンルのお菓子を用意することが望ましいです。

4.パンツ
 トイレトレーニング終盤に使用します。多めに10枚以上あるとよいでしょう。ここで注意すべきはトレーニングパンツは買わないことです。トレーニングパンツは一切必要がありません。

5.トイレカード
 まだ言葉が話せない子供に自発排泄を教える場合はトイレカードを用意します。トイレカードは複数枚用意してください。大きさは子供のポケットに入る程度の大きさで写真でもイラストでもどちらでも構いません。ラミネート加工をするとボロボロにならないのでお勧めです。100円均一のカードケースでも構いません。それにスマホや財布を落とさないようにするキーチェーンを購入して付けます。

 実際のトイレカードはこのようなものです。

ポラロイドカメラを使用したトイレカード
イラストを印刷したトイレカード(ラミネートを使用)

トイレトレーニングの指導手順

 自閉症スペクトラム障害児に対する実際の指導手順を説明していきます。

1.子供をおまるに一定時間座らす
おしっこが一番出やすい時間はいつでしょうか?間違いなく寝起きの時間です。寝起きの時間におしっこが必ず出るように訓練していきます。子供がおまるに一定時間座れるように練習します。コツは寝ぼけている状態でおまるのところまで連れて行って着座させることです。座る時間は徐々に増やしていきます。10秒からスタートし、一日10%ずつ増やしていきます。こうすると最初はごく短時間ですが、グラフの通りに2か月経つと1時間ぐらい座らせられるようになります。

10秒からスタートしても10%ずつ時間を増やしていけば2か月で1時間ぐらい座れるようになります。

子供への負担を減らすように着座中は子供の好きなテレビやビデオを見せて構いません。ただし、決められた時間は必ず着座させるようにします。 大人はずっと子供の後ろについている必要はありませんが、おまるから降りてしまった時は座らせなおします。朝は忙しいため、着座時間が長くなってきた場合はおまるに座ったままご飯を食べさせて構いません。大体2か月ぐらいするとおしっこが出るようになってきます。おしっこが出た場合は、直ちにおまるから立たせてご褒美のお菓子を缶から選ばせます。こうすることで、段々と着座時間が少しでおしっこが出るようになります。

2.おまるでおしっこが出るまで座らせ続ける
 おしっこがでる頻度が2日に1回の頻度になったら決められた時間まで着座させる方法ではなく、おしっこが出るまで着座させる方法に変更します。ただし、朝起きた時点でおむつが重い時は実施しない、朝おしっこが漏れていないことが多い子供は朝おむつが濡れていない時だけ着座させるというように変更し毎日は実施しません。こうするとだんだん座って数秒で出るようになります。

3.すべての日でおしっこが出るまで座らせる+トイレでの排泄をさせる
 トイレトレーニングを実施した日に着座させたら おしっこが 数秒で出る日が続いたら次の段階に進みます。子供が朝起きた時点でおむつが濡れていたとしてもおまるに座らせ、おしっこが出るまで着座させ続けます。おしっこが出ていないは、おまるではなくトイレの補助便座で実施させます。トイレの補助便座で実施する際に抵抗が大きい場合は、トイレ内においたおまるで実施させる等、段階を踏んでトイレで実施できるようにさせます。

4.一定時間毎にトイレへ誘導する
 子供が毎日おまるやトイレですぐにおしっこが出るようになったら、朝以外でもトイレに誘導しておしっこをさせます。時間排泄の指導開始です。おしっこの間隔は事前におむつを定期的に交換し観察することで排泄間隔を確かめます。大体1時間~1時間半のことが多いです。決められた間隔毎にタイマーをセットし、トイレに連れていきます。トイレではおしっこが出るまで着座させますが、その代わり子供をトイレへ連れていく前におむつが濡れている場合は、トイレに連れて行かないでよいです。この段階では、外出先で一定時間おしっこが出ていなければトイレに連れて行っておしっこをさせます。いろいろな場所、いろいろなトイレの形状でおしっこができるように練習していきましょう。男の子の場合、立たせておしっこさせるということもこの段階で練習してよいです。

5.家でパンツをはかせ、一定時間ごとにトイレへ誘導する
 時間排泄で半日以上おむつが濡れなくなったら家にいる間はパンツをはかせるようにします。この段階から自発排泄の練習が始まります。時間排泄のタイマーが鳴ったら子供に止めさせ、「トイレ」と言わせる、もしくはトイレカードを持たせてからトイレに誘導するようにします(トイレカードはタイマーのすぐ隣に置いてあるとわかりやすいです)。もし、子供がパンツをはいている時におもらしをしてしまった場合は、トイレにすぐ連れていき少しでもおしっこが出るまで着座させます。こうすることでだんだんと漏らしても量が少なくなり、トイレでの排泄量が増えていきます。外出先や就寝時はおむつのままで構いません。

6.自発排泄機会を増やす
 「トイレ」と言わせる、トイレカードを持たせることを実施していくと子供が自発的にトイレカードを持ったり、「トイレ」と言ったりするようになります。その場合、もれなくトイレに連れていき、おしっこがでたらご褒美のお菓子を上げます。こうすることで自発的にトイレに行く回数が増えていきます。自発排泄の回数が増えてきたら時間拝趨の回数を減らしていきます。具体的には、時間排泄の時間をだんだんと伸ばしていくことで自発排泄が起きやすいようにしていきます。自発排泄に成功したら時間排泄の間隔を10分伸ばす、おしっこを漏らしたら時間排泄の間隔を10分短くするとルールを決めて実施します。このようにしてだんだんと時間排泄の回数を減らしていきます。ここまで来ると基本的にはおしっこは自発的に行くようになります。これでも自発排泄が増えない場合は、子供がおしっこでパンツが濡れることが嫌と感じない可能性が高いです。この場合、漏らしたら短時間で何回もトイレに行かせる等、練習回数を増やすことで失敗を減らしていきます。

うんちの指導方法は

 うんちはおしっこに比べて指導が難しいです。理由は

  • 機会がおしっこに比べて少ないこと
  • 間隔が読めないことが多いこと
  • 筋肉量の問題から座るとうんちが出づらく、立ったり寝転んだりしないと出づらい子供がいること

等です。ですから、目安としてはおしっこを日常的に漏らさなくなってから1か月後ぐらいで開始したらよいです。うんちの指導方法は以下の通りです。

  1. うんちの前の行動を観察する
    うんちの前の行動がどのようなものかを確認します。例えばしゃがむ、部屋の隅に行く、つま先立ちするといった行動が見られることがあります。
  2. うんちの前の行動が出たらトイレで着座させる
    うんちの前の行動が観察できたらトイレに連れていきます。1分間からスタートして段々と伸ばし、15分ぐらい座れるようにします。もし決められた着座時間に座ってもうんちが出ない場合は、おむつを履かせおむつで排便させます。

 こうするとうんちがトイレで出るようになってきますが、足が浮いているとうんちが出づらいので、足台を用意したり、便座の上に両足をのせて体育座りのような形で実施させるという工夫をしましょう。

 以上のような方法でトイレトレーニングを実施していきます。不明な点がある場合はお問い合わせください。よく起こる問題点は以下のページにまとめてあります。

Back

お問い合わせ