それは魔法ではなく過度の気遣いです。
●「ちょっとだけ」で取りかかりのハードルを下げる
同じように、取りかかりのハードルを下げることでやる気を高められる場面はたくさんあります。宿題に取りかかれない子には、「遊ぶ前にプリント1問だけやっておこう」「夕飯前に、書き取り1字だけ書いておこう」「ちょっとだけやってみよう」「半分だけやっておこう」「1分だけやってみよう」「準備だけしておこう」「プリントに名前だけ書いておこう」なども効果的です。
「遊ぶ前に1問だけ」と言われてやり始めると、意外とそのまま全部やってしまうこともありえます。そうならなくても、1問だけやるときにプリントの全体が目に入るので、「これくらいか。うん、できそうだ」というように見通しがつきます。
見通しがついていると、本格的に取りかかるときの心理的ハードルが下がります。見通しがないときは、どんなものがどれくらいあるかわかりません。時間が経てば経つほど、それがどんどん膨らんで大きくなり、ますます取りかかりにくくなります。
●「手伝うよ。一緒にやろう」で取りかかりのハードルを下げる
宿題の取りかかりのハードルを下げるためには、「手伝ってあげるからやってみよう」「教えてあげるから一緒にやろう」などの言葉も効果的です。このほかにも、「わからないところは飛ばしていいからできるところだけやろう」「できないところはお父さんがやってあげるから」「半分やってあげるから」「消しゴム係やってあげるから」「答えを見てもいいから」なども効果的です。
なお、どうしても宿題がこなしきれないときは、先生と交渉して宿題を減らしてもらってください。
『 なお、どうしても宿題がこなしきれないときは、先生と交渉して宿題を減らしてもらってください。 』、この言葉だけで実施が現実的ではないのかがわかります。この文章は「子供がめきめきと動き出す魔法の言葉」となっていますが、正しくは「いかに親が子供を気遣い、のせる方法」であると思います。
これらの方法は一過性では効果があるかもしれません。ですが、それですといつまでも大人側が気遣いをし続けなければならなかったり、段々と効果が薄れたりということが考えられます。
「魔法のように即座に効果があること」は残念ながら教育でも療育でもあまりありません。地道な積み重ねが必要とされます。