指しゃぶりへの対策は?(自閉症療育)
このように、指しゃぶりは通常4~5歳になるとかなり減るとされていて※3)、「子どもの歯と口の保健ガイド」でも、3歳までは基本的に見守りの姿勢でよいとしています。4~5歳を超えても続く場合には対応を検討します。6歳以降も頻繁に指しゃぶりしている場合は、自然に消失しないことも分かっており、小児科医・小児歯科医・臨床心理士に相談した上で積極的に対応することになります。
では、どうすればよいのでしょうか。基本的には「やめさせる」のではなく、「やめようという気持ちを育むこと」が大切です。
指しゃぶりは「不安や緊張を取るための行動」でもあるとされており、親が気にし過ぎると余計にひどくなるケースもあります※4)。また、無理にやめさせようとすると、他の癖に置き換わってしまったり、心理的なトラウマになったりする場合もあります。まずは、「指をお口に入れちゃダメ」ではなく、「この指が大好きなんだね」という現状を受け入れることがスタートライン。そうすることで、子どもは心理的に解放され、少しずつやめようという気持ちが育っていきます※5)。その上で、以下のように対応を進めます。
1.子どもにストレスや不安の原因がないかを考え、あれば取り除く
2.指しゃぶりをしなかった記録をカレンダーにつけ、しなかった日に大いにほめるようにする(正の強化方法)
3.小児科や小児歯科を受診し、カウンセリングを受ける
4.必要に応じて、指しゃぶりを物理的にできなくする矯正器具を装着する。場合によっては、本人が嫌がる味のものを指に塗る(負の強化方法)
理論の説明ではなく、実際に消すという実践をしてくれたらよいのですが。1の指しゃぶりが不安から起こるという論文は確認したことがありません。イメージではないでしょうか。
2は親が見ていなかった時に確認できないという弱点があります。3はストレスから指しゃぶりをしているという前提がそもそも正しいかわかりません。4は負の強化ではなく、負の弱化方法ですね。
支援方法としては、バイターストップを使用することが比較的オーソドックスです(4)。特定の指でしか指しゃぶりをしないのであれば、その爪を食紅等で軽く染色してしまうのも方法の一つです。この場合、指しゃぶりをすると口が赤くなるのですぐにわかります。この場合、注意すべきは指しゃぶりを辞めたとしても他の物を口に入れて代用する可能性があることです。その場合、指しゃぶりが完璧に消えてから代替行動も消していきます。