深刻な問題に対して悠長な方法は使えない(自閉症療育)
反抗挑発症と素行症は、秩序を壊す傾向が強いこと、自分で衝動をコントロールするのが難しいことが共通する特徴です。どちらも男の子に多く、幼児期から落ち着きがなく、カンシャクを起こしやすい特徴がみられるのが一般的です。
(中略)
こうした子どもへの対応では、まず、親が子どもへの接し方を学ぶことの支援が行われます。
反抗挑発症や素行症の子どもたちの多くは、それまでの成長過程で叱られることが多く、たまに良い行いをしても、正当に認められなかったという経験があります。親も、問題行動にばかり目が向きがちです。
子どもが良い行動をとった場合は、それをしっかり認めて褒める。反対に、良くない行動をした場合には、こちらが攻撃的にならないよう注意しながら、はっきりと問題を指摘し、どう行動するべきなのかを示すことが重要となります。このような接し方を学ぶために、一定のカリキュラムのもとで行われる「ペアレント・トレーニング」と呼ばれるプログラムもあります。
子ども本人に対しては、感情や衝動のコントロール法や、トラブルが起こったときの相談のしかたなどを学ぶための「ソーシャルスキル・トレーニング」などが行われます。虐待を受けた経験がある子どもには、トラウマに対する治療が必要な場合もあります。
家庭、学校、医療機関が密に連携しながら関わることは必須ですが、素行症で暴力や反社会的行動が激しい場合には、児童相談所、警察、司法関係者などとも連携する必要があります。家庭だけでは対応が難しい場合や、反社会的行動が繰り返される場合には、児童自立支援施設で生活などの指導を受けることや、少年院での矯正教育を検討します。
よいことができたらほめる、良くない行動をしたら問題を指摘するというのは、指導方法としてはかなり緩いです。だからといって、児童自立支援施設、少年院等の協力を得るぐらい行動が悪い場合は、もう対応が難しいくらいの酷い行動となっています。また、少年院や児童自立支援施設で行動が改善したとしても家庭に戻ると問題行動が元に戻ってしまうことがあります。
家庭で支援すれば消せるぐらいのレベルで対応していたほうが子供にとっても親にとっても楽ですが、ペアレントトレーニングだけでの改善ができるかというと難しいです。やはりセラピストの指導を受けたほうが安全に対応できると思います。