そもそも自閉症スペクトラム障害の概念はどうしてできたか?
2013年のDSM-5で採用された自閉症スペクトラム障害という概念ですが、そもそもどうしてできたのでしょうか。
自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder:ASD)は広汎性発達障害下に属する、自閉症・アスペルガー障害・特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)は診断の境界が極めて曖昧でしかも区別して診断する必要はないという考え方から、これらの障害をスペクトラム(連続体)として捉える90年代に登場した考え方です。
提唱者のR.Wing(写真上)は自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)を区別せず、自閉症スペクトラムとして捉える代わりに、そこからコミュニケーションの特徴等から次のように分類分けすることを提唱しました。
- 孤立型→他人と関わろうとしない
- 受動型→他人に誘われたら一緒に活動するが、自分からは誘わない
- 積極奇異型→かかわりが積極であるが、コミュニケーション方法が独特
このようなグループ分けをすることを前提に作られた自閉症スペクトラム障害の概念ですが、そのようなことは考慮されずにDSM-5に採用されました。DSM-5の基準はこちらです。
このようにもともとの提唱された案とは異なった使われ方をしているのが自閉症スペクトラム障害という診断名なのです。