保育士の質は本当に下がっているのか
ニュースで保育士の暴言や暴力が取り上げられることが多いように感じます。ただし、こういった場合、少年犯罪と同様にメディアが注意を引きやすいことから大げさに取り上げられている可能性があります。データではどうなっているのでしょうか。
厚生労働省のデータですが、保育園での暴力・暴言に関しては一貫したデータが挙げられていなかったため、重大問題である死亡事故の件数を年度ごとに比較してみました。結果がこちら。
平成16年から平成29年のデータを集計したものです。認可保育園の年間平均死亡数は4.6人で認可外保育園の年間平均死亡数は9.3人でした。平均的に認可外保育園のほうが倍の被害が出ているということです。ですが、認可保育園でも認可外保育園でも死亡事故が増えているわけではありません。むしろ、認可外保育園では、平成25年をピークに死亡事故件数が年々減っています。
ということで、死亡事故という観点から保育所の質の低下ということは認められませんでした。保育所での暴言や暴行はボイスレコーダー、監視カメラといったツールにより認知件数は上がった可能性はあると思います。
暴言や暴力を防ぐためにはどうすればよいのか。手っ取り早い方法は保育士の待遇をよくすることです。保育士は希望者が少なく、採用する側は「誰が欲しいか」というよりは「誰がましか」という議論になってしまうことがあります。待遇改善をするだけでも指導力が高い保育士が集まる可能性は高いです。