差別か平等か
重度の知的障がいがある さん(16)= 中卒=が今年3月、2度目の沖縄県立高校受験に挑んだが、不合格となった。受験した1次募集の全日制、2次募集の定時制の2校はいずれも定員割れだったが、県教育委員会は「一定の点数が足りず、入学しても高校の教育課程をこなすことは難しい」としている。
さんの家族は3月28日に県教育庁を訪れ「テストで点数が取れないことが知的障がいの特性であり、今の選抜制度では本人の努力が反映されない。2次募集でも学力選抜で定員内不合格とされることは差別だ」と批判した。
さんの両親は受験を成立させるために必要な「合理的配慮」が十分でなかったとして、「県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例(共生社会条例)」に基づき、県に助言(あっせん)を求める申請をした。
申請を受け、調整委員会は県教委の配慮が不十分だったと指摘した。今春の入試では調整委員会の提言を受けて、支援員の増員や代読・代筆が認められた。
今回の不合格について さんの両親は「合理的配慮に改善は見られたが、テストで得点すること自体が難しい息子の障がい特性が考慮されていないことは変わらず、努力を評価してもらえない」と話している。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-901756.html
合理的配慮は 「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」 と定義されています(文部科学省)。
合理的配慮自体の例が小学校や中学校を想定して書かれており、義務教育ではない高校がそもそも合理的配慮の範疇に入るのかは不明です。
ここで問題となるのは 「均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」 ということであると考えられます。この考慮事項として 「児童生徒一人一人の障害の状態及び教育的ニーズ、学校の状況、地域の状況、体制面、財政面等 」が挙げられています。
ここでは、
- 障害の程度が重くてサポートがあっても学習が難しい
- 学校が義務教育ではない
- 対象児に対して教員を割くことが必要
- 教員を増員することは財政的負担が大きい
といったことが影響していると考えられます。「親がサポートするのであれば」「部分的な参加にとどめるのであれば」といった条件があれば入学可能かもしれませんね。