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家での行動を外でもできるようにするためには(行動の般化)

(出典:PhotoAC

 前日の記事で、自閉症スペクトラム障害等の発達障害児はルールの異なった場面への応用が難しいと説明しました。どうすれば改善できるでしょうか。

 欧米でのABAだと、学校や家、他の施設で一貫した対応を取ることが可能なことが多いため、問題にならないことが多いです。つまり、有効な方法に統一して支援ができるのです。

 では、日本ではどうでしょうか。残念ながらABAは周知された方法ではありませんし、家庭で効果をあげたからと言って保育園、幼稚園、小学校で実施することは不可能に近いです。

 ABAは包括的な支援システムとしては優秀ですが、対応が統一されていない場合は効果をあげることがかなり難しくなります。「学校の協力を」「保育園の協力を」といった方針のセラピストもいますが、断られることも多く、言葉や一回の実演で簡単にできるようなことでもないと思います。

 こうなると、残念なことは「日本の教育は」「先生はわかっていない」といった批判的な論調になってしまうことです。学会等でも「学校の先生の理解がなかなか得られない」といったことがしばしば聞かれます。

 私は日本でABAが教育や心理での主流になることは残念ながら今後もないと思います。それは、1990年代からの支援体制の変遷から推測すると明らかです。

 では、諦めるのかというとそうではありません。日本では保育園、幼稚園、学校で協力を得られなかったとしても効果をあげる形にABAを変容させることが求められているのです。

 家庭でできていることを家庭以外でもできるようにするためにすることは一つ、行動のレベルをさらに上げることです。例えば、

  • 家では長時間座ってられるにも関わらず、教室では立ってしまう子供→家で親が見守っていなくても座れるようにする(例えば別の部屋に行く)
  • 家ではトイレに問題なく行くにも関わらず、保育園では漏らしてしまう子供→家で「トイレに行っていいですか」ということを家でも必ず言ってからトイレに行く。
  • 家ではめったに泣かないにも関わらず、幼稚園では泣いて寝転がる子供→家で少しでも大きな声を出したら落ち着くまで座らせる。

といったことです。こうすると、家庭でできていることよりも家庭外で求められることのほうが難易度が下がります。面白いもので、人間というのは簡単にできることはやってくれるものです。こうすることで家庭以外の行動を家庭で改善することができます。これからの日本のABAに求められていくことではないでしょうか。

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