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光とともに…第1巻保育園編第3話

今日は光とともに…第1巻保育園第3話です。光の母親、幸子は光の就学にあたって教育センターの相談員と相談します。近くの小学校にある障害児学級(特別支援学級)に進学希望でしたが、就学時検診で養護(特別支援学校)判定の診断が出ます。幸子が妊娠したこともあり、最終的には希望する近所の特別支援学級に入学することが決まり、卒園式を終えた所で話は終わります。

P217で光が保育園で「おはようございます」と挨拶ができるようになったと描写されています。ですが、場面から考えると相手が「おはようございます」と言っていることを単にオウム返し(即時性エコラリア)しているだけでしょう。自発的な挨拶を形成する必要があります。それは、こちらが何も声をかけなくても「おはようございます」と言えるようにすることです。最初は音声プロンプトを使って教え、それからは間接言語プロンプトにより行動がだせるようにします。

P218で保育士は水遊びを続けたいため、泣いている光を相手にしていません。消去の対応を取っています。ですが、まずは、泣かずに切り替えられた時にきちんとほめて強化する必要があります(他行動分化強化)。

P220で光は決められた場所に逃げ込み、保育士は声かけをし落ち着いた光は外で水遊びをすることができました。とてもよい対応だと思います。泣いたりパニックになったりすることを防ごうとするのではなく、立ち直れるように待つことでこだわりやパニックは減ります。

P221で耳を触られることを嫌がる光に対して心理指導の大沢は『無理にやらないほうがよい』とアドバイスを送っています。これは明らかに間違いです。例えば、急に中耳炎になってしまった場合、耳鼻科で耳を触ることができなければ治療ができません。苦手なことはスモールステップを使って段階的に我慢できるようにしていかなけばなりません(エクスポージャー)。

P232で太陽や光が昼寝の時間、他の子どもとは違う部屋で過ごしていると説明があります。二人とも遊びができるようになっていると書かれているので、明らかに好子による強化が起こっています。皆と静かに過ごさせたいのであれば、まずは、別室で寝られるようにする。その後、他の子どもの部屋の環境に段階的に近づけていく必要があります。

P245で希望する特別支援学級がある小学校の校長に幸子は今までの保育園の子と離れたくないこと、将来的に光が地域の中で障害を持たない人とも関わりながら暮らせるようになってほしいことを伝えます。家の近くの小学校に通うというメリットはまさにここにあると思います。近所の子どもと顔なじみになり、地域の中で理解されることが期待できます。また、近所の母親同志のネットワークもできるため、母親の育児ストレスも溜まりにくいです。

以上が療育的視点から見た感想です。

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